INTERVIEW No.836
フタバ Futaba Slope
代表 内田 知宏 さん(35)
法面(のりめん)業
法面は、道路の建設や宅地造成などの際に造られる人工的な斜面のことです。土砂災害防止、崩落防止を目的とする法面工事もあります。よく目にされるのは、道路脇のコンクリートを吹付けた斜面かもしれませんね。当社では整地から、土台となる鉄筋、金網の固定、吹付けまで一連の土木工事を担当しています。また、芝をはじめとする植生吹付け工法、ブロック積み、石積み、ブロック張り工法も行います。
依頼があると私も協力業者と現場に入り、ダンプ、高所作業車、ユニック、クレーン、キャタピラの付いた不整地運搬車等々の特殊な重機を扱いながら汗を流しています。
独立して、これまでに福山市内では伊勢丘の団地の法面、市外では、尾道松江線(中国やまなみ街道)の世羅―三次東の法面、三原バイパスの是国トンネル(道の駅みはら神明の里近く)の法面などを請け、1ヶ所で数ヶ月にわたる工事を完成させてきました。
独立の転機
この業界へは18歳から。法面工事を専門とする(有)ダイテク・ワークに就職しました。大きな志があったというよりは同級生に声をかけてもらって入社し、学びながら仕事の楽しさに目覚めていったと思います。ここでの約10年の間に、重機等に関わる資格を一通り取らせていただきました。
2018年7月の西日本豪雨が転機となりました。地元で、ため池が決壊し、私も消防団の一員としてご家族とともに祈るような思いで捜索にあたりましたが、幼い命が失われてしまいました。このとき実感したんです。土木工事がしっかりしていなければ命が危険にさらされる。しっかりしていれば守れる命がある、と。
悲しい思いをする人をもう出したくない。そう決心して、さらに土木工事を学びながら自分で新しい道を作っていこうと独立を決めました。会社に想いを伝えて円満退職。今でも応援をいただいています。
地域貢献と将来展望
法面工事の技術や知識を活かして、今年2月からは、一般住宅の外構工事にも立て続けに入らせてもらっています。法面工事の大半はバリケードがあって、人の目に触れることは少なかったのですが、住宅では依頼主やご家族との出会いがありワクワクも感じます。
10年後、さらにその先を考えると、フタバの規模は大きくなっているかもしれないし、「とりあえず内田に聞いてみよう」と言われる存在になっていたいと考えていますが、やはり法面を中心とした土木工事の軸はぶれることがないと確信しています。人の命を守る大事な役目を忘れることはありません。消防団や商工会に所属し、地域の安全や祭にも関わらせてもらいながら、みなさんに安心して暮らしてもらえるよう、子どもたちの楽しそうな笑顔が続くようにと願っています。
■ PROFILE
1989年生まれ。福山市駅家町出身。18歳から法面吹付け専門会社に就職。西日本豪雨災害をきっかけに独立。法面業を主に土木工事に従事。今年、住宅外構事業にも進出
■ SHOP DATA
フタバ Futaba Slope
広島県福山市駅家町万能倉1176-3
TEL:090-7892-1060
Instagram:@11futaba.20