Vol.184 開咬(かいこう)の矯正治療を終えて

 この度、長年にわたる開咬(かいこう)の矯正治療を無事に終了された患者様がいらっしゃいます。
 開咬とは、奥歯が噛み合っていても、前歯が上下で噛み合わずに隙間ができてしまう状態を指します。見た目だけでなく、食事のしづらさや発音の不明瞭さ、奥歯への過度な負担など、様々な口腔機能や全身の健康に影響を及ぼす可能性があります。
 今回の患者様は、舌の癖が原因で生じた重度の開咬で、非常に綿密な治療計画を立てる必要がありました。幸い、骨格的な要因は少なかったため、外科手術を伴うことなく、通常のワイヤー矯正で治療を進めることとなりました。
 治療開始当初は、上顎の奥歯が反対に噛み合っていたり、臼歯の位置関係にも課題があったため、上顎の拡大と、上顎小臼歯の抜歯を行い、歯を並べるスペースを確保しました。順調に歯並びは整っていきましたが、奥歯の噛み合わせの問題により、治療途中で下顎小臼歯の抜歯も行いました。
 奥歯の噛み合わせの調整には時間を要しました。試行錯誤を重ね、カリエールモーションといった特殊な装置も用いて、理想的な噛み合わせを目指しました。
 結果として、3年6ヶ月という非常に長い治療期間となりましたが、患者様は本当によく根気強く治療に付き合ってくださいました。初診時と比較すると、見違えるほど美しい歯並びと口元に変化し、その変化に私たちも大きな喜びを感じています。
 矯正専門医の目線から見れば、完璧な噛み合わせとまでは言い切れない部分もあります。しかし、これが今回の患者様の状態における最善であり、現在の技術と患者様の状況を考慮した上での「限界」であるとも考えております。矯正治療は、期間内でどれだけ最善を尽くし、患者様一人ひとりに合った最良の噛み合わせと歯並びを構築できるかが重要です。
 当院では、患者様が抱えるお悩みに対し、真摯に向き合い、一回一回の調整に全力を尽くし、最高の笑顔と健康をお届けできるよう、これからも日々努力してまいります。

ふかつ歯科・矯正歯科

ふかつ歯科・矯正歯科フカツシカ・キョウセイシカ

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広島県福山市西深津町5-23-41

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