No.884【樹々/福島 梨沙】ホワイトセージ農家と写真家の道 ー暮らしに寄り添いながらー

INTERVIEW No.884
樹々(きぎ)
代表 福島 梨沙 さん(42)

友人のひとことから起業

 父が大工で、木に囲まれて育ち、暮らす場所の大切さをずっと感じて育ったように思います。大工になる夢はいつしか諦めてしまいましたが、それでも木を育てたり木材を使ったり、そんな仕事に就きたいという思いはずっと抱いていました。
 外構やエクステリアの仕事で植物の知識も少しついて、子育てが少し落ち着いてきた頃、友人から「ホワイトセージを育てて欲しい」と言われました。学名はサルビア・アピアナ。カリフォルニア原産で、国産の良いものはなかなか出回っていないと聞きました。20代の頃、沖縄に一人旅をしたときにパワーストーンの浄化に使われているのを見て苗を探したのですが、そのときは見つからず残念に思ったことが友人の一言でよみがえりました。「いいね! やってみる」と応えて、信頼する庭師さんの力を借りながら我が家の畑を土壌改良し、30株を植えたのが始まりでした。

香りに魅了されて

 乾燥させたホワイトセージの葉に、火を点けた時の香は特別です。古くはネイティブアメリカンの儀式に使われ、神木ハーブとも呼ばれるほどです。
 農業をやってて良かった!と思えるほど生葉の癒される香りにも魅了され、2021年の秋に農業の開業届を出し、多い時で100株を無農薬で育てました。多くの人に知っていただこうと、ドライにした葉を封入してネット販売にも乗り出しました。商品名は「陽光―HARUー」。年に1~2回、次は年明けの出荷予定です。特に、ヨガやエステ、アロマセラピスト、整体を仕事にしている方や、香りや癒しに敏感な方などに喜ばれています。

写真家として農家として

 写真撮影の仕事のほうが長くて、こちらは「樹々 暮らしの写真館」という名前で依頼を受けています。20歳からPENTAXやキャノンといったフィルムカメラにはまり、我が家の庭に装花をしたり自然の中で撮影したり、お客様のお家に息づく物と一緒に撮影したり…。私にとって「暮らし」というのは写真においても最大のエッセンスなんです。「母親とふたりの写真がほしい」「今だけのマタニティフォトを」など暮らしや日常の笑顔の瞬間を切り取れたら。そう考えながら、ご家族の中で流れている時間を共有させてもらっている瞬間がとても幸せです。 
 これからは、セージ以外のハーブも植えて、ワークショップを開催しながらハーブの力を暮らしに取り入れる取り組みをしていきたいです。畑はまだまだ何も植えていないところがあるので、廃材で小屋も造ってフォトジェニックな空間にもしていきたいですね。
 写真もハーブも、誰かの大切な暮らしのお手伝いをさせていただきたいと願っています。そして友人たちとこの畑で輪になって、ダンスをしながら笑顔でいられたら。そんなことも思い描いています。

■ PROFILE
1983年愛媛県西条市出身。20代からカメラを趣味とし、やがて本格的に依頼を受けるように。2021年には神辺町でホワイトセージ農家として開業し、暮らしに寄り添う

■ SHOP DATA
樹々(きぎ)
・ホワイトセージ Instagram/@kigi_haru1027
・暮らしの写真館 Instagram/@kigi_kurashiphoto

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