11歳の女の子が前歯の“反対咬合(受け口)”を主訴に来院されました。
一期治療では上下の前歯にブラケットを付けて前歯の被蓋を改善しましたが、奥歯の噛み合わせ(臼歯関係)までは十分に整えられなかったため、成長期に入り下顎が大きく成長した時期に後戻りが発生しました。
そこで、オフから2年3ヶ月後に二期治療を開始。
診断の結果、左右とも約5㎜のズレを伴う骨格性要因の強い反対咬合であり、本来であれば外科手術(オペ)を併用するのが一般的なケースでした。
しかし患者様と相談し、できるだけ通常の矯正治療のみで改善する方針を選択しました。
ここで力を発揮したのが「カリエールモーション」です。
この装置を使い、5ヶ月間の顎間ゴムで奥歯の位置関係をクラスIまで改善できたことで、オペをせずに治療を進める道が開けました。
その後、マルチブラケット装置に切り替え、10ヶ月かけて歯列全体の咬み合わせを丁寧に整えました。
“サジタルファースト”という奥歯から治す考え方に基づき、後戻りしにくい安定した咬合を獲得できた症例です。

