【東洋額装株式会社/落岩 国見】ー 唯一無二と向き合い続けてー 表装の技と誇りを次の世代へ

INTERVIEWEE
東洋額装(とうようがくそう)株式会社
相談役 落岩 国見 さん(67)

技を磨き、作品に寄り添う

書や絵画の掛軸、額装、屏風の仕上げ、修復作業、額のレンタルまで。東洋額装は昭和48年の創業以来、作品の美しさを引き立て、末長く守る仕事を手がけてきた。「現在は、書に関する依頼が9割」と話すのは、相談役の落岩さん。半紙などに入ったしわを丁寧に伸ばし、裏打ちで一枚厚みを足す。そこから掛け軸や額へと、作品のテーマや持ち主の好みに合わせて仕上げていく。新しい作品だけでなく、経年による日焼けやシミを洗い、再び息を吹き込む修復も大切な仕事のひとつだ。

全国的な信頼、人を育てる現場

「書のまち・福山」を支えるとともに、東京支店と大阪支店を構え、全国の書の大家から書展や個展に合わせた依頼が寄せられる。作業はすべて加茂町の本社で行う。「職人がそのまま経営者となり、親方と弟子のような技術の伝承が多い業界において、企業として技術を継承しています」。業界トップシェアをひた走る秘訣でもある。
その専門性の高さを示す指標のひとつが、一級表具技能士の国家資格だ。二級取得後、さらに4年の実務経験を積んでから受験資格を得られる難関で、学科と実技の両方が問われる。現在社内に28人を有し、女性でみると、県内4人中3人が在籍している。
4年前に同社から22年ぶりに女性の一級と二級が誕生し話題になり、当時二級だった溝口華純さん(現在27歳)が最短で一級を取得したばかり。分業制の現場でありながら、資格は表装技能全体の網羅的な力が求められるとあって、落岩さんが指導にあたってきた。

ものづくりを楽しみながら

落岩さん自身は、府中市の出身。25歳のとき東洋額装に入社。3年後に二級、7年後に一級表装技能士の資格を取得した際には、成績最優秀者に贈られる県知事賞も受賞した。10年後に、ものづくりマイスターにも認定されている。「会社が伸びていく時期でもあり、いろんな部署を回らせてもらいました」。専務取締役まで務めてきた40年余りを振り返る。「唯一無二の作品を預り、失敗が許されない世界。大家の先生の作品も幼い子の記念も、新品も古いものも全て繊細な1点ものです。持てる限りの力を分け隔てなく尽くすプライドを、技術や知識に加えて、伝えていきたいと考えています」。
休日は自らを「木こり」と称し、所有する山の木を伐り出して実家のリフォームを行う。囲炉裏や薪ストーブも手作り。大型バイクをレストアしてひとり旅に出ることもあり、息子さんはかつて2人ともモトクロスレースでシリーズ参戦したほど後押しした。様々なものづくりを楽しむ心と、技を次の世代へと手渡す責任。その両方を大切にしながら、今日も作品に向き合っている。

INTERVIEWEE DATA
東洋額装(とうようがくそう)株式会社
福山市加茂町八軒屋3
TEL:084-972-5577

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