【異業種リレーの「わ」No.710 】「海の幸、〝地〟の幸を「海福」で召し上がれ」

INTERVIEWEE No.710
味心 海福(あじしんかいふく)
代表 小平 裕也 さん

親子で腕を振るう

 瀬戸内の魚介を存分に味わいたいときは、福山駅から徒歩5分の「海福」へお越しください。2017年3月にオープンしたまだ若い店ですが、代表の私は料理人歴20年、ともに調理場に立つ父は40年です。お造り、煮物、焼き物、炊き物、練り物など、全てにおいて瀬戸内近郊の魚介や地元の新鮮野菜をふんだんに使った料理でおもてなしいたします。海鮮料理以外にも自家製の湯葉、寄せ豆富、胡麻豆富などを使った豆富料理に和牛料理、麺物といったメニューもあり、何を選んでも「海福らしさ」を感じていただるよう丁寧に仕込んでいます。また、料理に合うように日本酒はすっきりした辛口を中心に15種類ほど揃えており、ワイン、ビール、焼酎、カクテルなども用意しています。
 1階はカウンター席のみ、2階は掘りごたつ席で個室です。一人飲みを楽しむ女性客も珍しくなく、配膳を担当する母と妻、アルバイトの女性陣が明るい笑顔で盛り立てています。

10代で料理の道へ

 「いつか一緒に店をやらないか」。そう父に持ちかけられたとき、私はまだ10代。高校時代のアルバイトで料理の面白さを知り、進路を料理人に定めた矢先のことでした。当時、祖父が営む豆富料理屋「照栄」で働いていた父に、「10年は修行したい」と伝え、食い倒れの街・大阪で寿司と割烹の店に就職。厳しい下積み時代を経て、魚介の仕入れ方、目利き、加工法など、和食の基礎と応用、心構えなどを習得しました。
 料理人になって4年目、お品書きに初めて登場した私の料理は「野菜の炊き合わせ」でした。やさしい味付けを意識し、彩りを考えて盛付けました。お客様が口に運ばれるのを遠くから盗み見し、満足そうな表情を確認しては喜んでいましたね。24歳で店長を任されてからは人を雇う難しさを学び、スタッフとの関係作りにも悩みましたが、今となってはそれも貴重な経験です。
 結局、大阪では3店舗計11年修行し、福山に戻ったのは29歳のときです。今度は地元での人脈作りも考えながら職探しを始めました。そして、「ここでもう少し学びたい」と感じた元町の「和彩酒膳 植おか」に幾度か直談判して、独立するまでの4年半、修行させてもらいました。

父と研鑽を重ねていく

 私は「海」、父は「福」。それぞれ考えた一字ずつを合わせて店名にしました。親戚に海運業に携わる者が多かったのと、縁起のいい地名にあやかりました。物件が決まって4か月で開店できたと言えば準備がスムーズだったと思われそうですが、実際は、親子で遠慮が無い分、内装のイメージや仕入れ先のことでずいぶん喧嘩しながらのスタートでした。ただ、メニューに関しては互いに考えたものを何でも提供するスタイルにしていて、今でも衝突することはないですね。
 親子で肩を並べて働くようになって、父が非常に勉強熱心だということを知りました。評判の海福特製カレーに麻婆豆富、中華そば、茶そばと、ジャンルを問わずメニュー化に挑戦する姿は尊敬に値します。しかも、どれも丁寧にレシピを考えてあるのです。そんな父に刺激され、私もこれまで以上にお客様に喜んでいただける新しいメニューの開発に挑んでいます。父が頑張るから、私も頑張る。お互い頑固で我が強いということがプラスに働いています。
 昨年から新型コロナの影響で売上は下がったままですが、常連客の方々が定期的に食べに来てくれたり、持ち帰りのオードブルを注文してくれたりするおかげで今年も元気に店に立つことができています。それに、親子でしているからこその心強さもあります。今年も、父とともに料理に関して一切の妥協を許さず、おいしいものを届けていきたいです。これまでに自分たちが築いてきたやり方を信じて、感謝を忘れず、丁寧な仕事を貫くことが、アフターコロナにつながるはずですから。

■ SHOP DATA
味心 海福(あじしんかいふく)
広島県福山市伏見町1-9
TEL:084-923-0831

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