INTERVIEWEE No.713
BOULDERiNG SPACE KOKOPELLi(ぼるだりんぐすぺーすここぺり)
代表 クライマー 熊谷 徹真 さん
ボルダリングに魅了され
ボルダリングに初めて挑戦した人は、大体2つに分かれます。「ハマる」か「ハマらない」か。こんなにも嗜好がはっきり分かれるスポーツは珍しいかもしれませんね。
私は、そんなボルダリングに魅了された一人です。ずっと「自分の体ひとつ」で登るロッククライミングに憧れていました。知人から市内にボルダリング壁があると聞いて訪れたのが、私とクライミングの出会い、今から20年前の事です。
課題によって使える「ホールド」が指定されているボルダリングは、筋力だけでなくバランス、そして頭を使います。登れるかは自分次第。一人で黙々と〝壁〟に挑むこのスポーツに私は一度で虜になりました。
当時、市内にはアウトドアショップ併設の壁しかなく、続けていくうちにもっと登れる環境が欲しいと思うようになり、なら自分でジムを作ろうと独立してクライミングジムを開設することに決めました。
ジムの開業
意思を固めてからの約1年は、準備期間に充てました。開店資金を貯めながら、他のジムへ見学や改装の手伝いに出向き、運営のノウハウを教わりました。物件は3件目、融資は2回目でやっと通り、開業2ヶ月前には店舗の工事に着手することができました。
9年目になるこのジムには、途中の拡張工事を経て、8面の壁を設置しています。聞く話では、うちは「グレーティングが〝辛い〟」そう。グレーティングとは級など課題の難易度で、その内容を評価するのに〝甘い〟〝辛い〟ということがあります。つまり、同じグレードでもうちの課題の方が難しい、と。
これについて私は、ジムの個性だと考えます。うちは、ボルダリングの魅力、すなわち〝登る〟ことそのものの楽しさや、登れなかった壁を登れた時の達成感といった醍醐味がダイレクトに味わえる課題を作っています。クライマー達に〝しっかり登らせる〟、そんな壁がうちの特徴。何度でも壁に挑んで、体で覚えて考えて、積み重ね、そして登り切る…そんな体験をぜひしてみてください。初心者の方にはもちろんアドバイスしますよ。
“コロナ”をきっかけに
日々の育児は妻任せであまり関われなかった方ですが、昨年の緊急事態宣言下で一時休業したのを機に、4歳の娘との時間をたくさん取るようになりました。通園を一緒にするようにしましたし、夕食はジムの休憩スペースで、妻が作る料理を家族3人で食べています。
長く通ってくれているお客さんのなかには、結婚したり子どもができたりする人もいて、環境が変わっていくのを見るのは、感慨深いものですね。私も、このジムを続けながら、できるだけ多くの時間を家族と過ごせるように工夫しようと決めました。家族を持つ前と今とでは、自分でも随分変わったと思います。大切な家族のためにこれからも頑張ります。
■ PROFILE
1969年生。福山市出身。久留米市の大学に進学。Uターン後、数社での勤務経験を経て、2012年10月「BOULDERiNG SPACE KOKOPELLi」を開業、現在に至る。2016年より月に1度、発達障害児クラスを主催している。
■ SHOP DATA
BOULDERiNG SPACE KOKOPELLi(ぼるだりんぐすぺーすここぺり)
広島県福山市曙町1丁目2-14
TEL:084-961-3855