カリエールモーションを用いた矯正治療とは、クラスⅡ(出っ歯)と呼ばれる臼歯(奥羽)関係を最初の3~6ヶ月でクラスI(正常な噛み合わせ)に是正し、その後、ワイヤーに変更して歯を並べて終了するという画期的な治療法です。カリエールを使用することで以下の点が期待できます。 ①非抜歯矯正 ②治療期間の短縮 ③審美性と機能性に優れた治療 ④矯正治療のストレス軽減 今回の症例は、12歳の女子で、前歯の凸凹を主訴に来院されました。臼歯の噛み合わせをみると、edge to edgeと呼ばれるクラスⅡ状態を呈しています。この場合、術者側としては小臼歯抜歯した方がよいのかどうかという問題が発生します。 私の考えとしては、12歳の患者様は第二次成長期が始まったばかりです。そのため、歯周組織もまだ柔軟な顎骨であり矯正治療における十分な歯の移動が期待できると考え、非抜歯にて矯正治療を行うこととしました。 最初にカリエールモーションを5ヶ月使用してもらい、想定していた5.0㎜の遠心移動が行えて、クラスIの咬合に構築できました。 その後ブラケットを15ヶ月間装着して上下の歯列を整えて矯正治療を終了しました。治療開始から20ヶ月という期間で非抜歯にて美しい歯並びを得ることができました。 カリエールモーションは小臼歯から大臼歯を一塊として歯列全体を後方に動かすことで、スピーディーかつ非抜歯にて機能的な咬合を獲得できる優れた矯正装置です。