【RECTANGLE/高前 直幸】ー スカイランニング日本代表選手ー 低酸素トレーニングで世界の頂へ

INTERVIEWEE
RECTANGLE(レクトアングル)
スカイランナー 高前 直幸さん(44)

「マスターズ世界選手権」出場決定

ステアクライミング(階段競争)とスカイランニング(山岳競技)、2つの過酷な競技を極めてきた高前直幸さんが、今年10月にブルガリアのカルロヴォで開催される「第3回マスターズスカイランニング世界選手権」への出場を決めた。出場するのは、距離5・2㎞、標高差1千100m以上という急斜面や傾斜の登山道、岩場を、手やストックも使いながらテクニカルに山頂まで駆け登る「バーティカル」部門。「バラ祭りがある都市なので、ご縁と後押しを感じます。経験がものを言う一番得意な種目で頑張ってきます」と意気込む。

神石高原町出身。高校時代は陸上部で5千mを走り、医療専門学校を卒業後は福山市内の寺岡整形外科病院に勤務。福山市陸協でも駅伝で活躍してきた。30歳ごろに山岳競技と出会い、初出場の「比婆山国際スカイラン」で優勝を果たす。2019年には超高層ビル「あべのハルカス」を駆け上がる大会で優勝。ステアクライミング全日本エリート選手、スカイランニング全日本強化選手にも選ばれてきた。

骨折乗り越え、レクトアングルで訓練

しかし一昨年、イタリアでの「第1回マスターズスカイランニング世界選手権」を目前に、右足を2ヶ所骨折。出場も危ぶまれたが、レース2ヶ月前の手術で、標高3千mを超える総距離55㎞のコースを12時間30分かけて完走した。
その後、人工的に高地トレーニング環境を作り出せる施設「レクトアングル」に週に2〜3回通い、2千500mの標高と同じ低酸素ルームで、ジョグやラン、ダッシュを組合せて自らを追い込んでいる。「福山近郊には高い山がありません。長野なら標高も高く涼しく練習できるのですが…。レクトアングルのおかげで、熱中症を心配せず現地さながらの練習ができます。外が雨でも炎天下でも快適で、登山の練習やダイエットにもいいんですよ」と語る。

屋内で本格高地トレーニング

福山市役所庁舎の地下から、13階よりさらに上の展望コーナーまでを駆け上がる練習も重ねた。ベストは1分16秒という。レクトアングルでの練習とあわせて体調を万全にもっていき、「ケガからの復帰戦で、完走が第一目標だった前回大会とは違いますよ」。充実感をにじませながら、表彰台を狙う。

ジュニアランニングクラブチーム「F・K・C」のコーチとして竹ケ端運動公園やエフピコアリーナ横の未来創造ゾーンなどで子どもたちの指導にも力を入れ、神石高原町ふるさと大使にも任命され活動中。「日本代表になりたい」と願ったチャンスを再びつかみとり、ステアクライミングとスカイランニングで多くの挑戦を続けるなかで、高前さんが思い描く“最終目標”は「最強のおじいちゃん」だそうだ。長く走り続けることで、その夢にも一歩ずつ近づいている。

INTERVIEWEE DATA
RECTANGLE(レクトアングル)
福山市駅家町下山守277-1
TEL:050-8892-7594

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