【異業種リレーの「わ」No.759 】牛の昼夜自然放牧を行う牧場

INTERVIEW No.758
相馬さんの牧場
牧夫 相馬 行胤さん(47)

福島県出身者が神石高原町で営む牧場

神石高原町にある「命を大切に」をモットーに、牛の昼夜自然放牧を行う牧場「相馬さんの牧場」。私はその牧夫であり、旧相馬中村藩(現在の福島県浜通り北部地域)の現当主(34代目)です。福島県出身の私が現在、故郷から遠く離れた神石高原町に暮らしているのは2011年の東日本大震災、そして福島第一原子力発電所事故がきっかけでした。

それまで私は、北海道で牧場の経営と福島県でシイタケの栽培をしていました。2011年、福島第一原子力発電所事故が起こり、私の故郷の一部が帰還困難地域に指定されました。当時、帰還困難地域は50年、100年は入れなくなると言われていました。100年経ったら人も町も変わってしまう。私たちの故郷がなくならないように、どこかに故郷の人が集まって暮らせる“ヴィレッジ”を作りたいと思いました。そして様々な人たちの助けがあり、神石高原町に農地を借りることができ、2013年、故郷の人たちが集まって暮らせる場所として「相馬さんの牧場」を開設しました。

「安全、おいしさ、いのち」を大切にする牧場

牛たちをストレスから解放し、「安全、おいしさ、いのち」にこだわりました。牛乳は低温殺菌ノンホモ処理で、本来の味・風味が損なわれないようにしています。また、搾乳から加工まで一貫して牧場で手作業で行っています。生産性と効率性を求める「工業的畜産」にはないこだわりがこの牧場の製品の魅力になっています。

牧場の立ち上げから10年近く経った今では、故郷の人たちと集まってこの地で暮らす、という想いより、牧場の仕事に専念しようと考えています。帰還困難地域には、まだ入れないところも多いのですが、解除されたところもあります。自由な場所で暮らせるようになった人たちをここに縛るのも良くないと思うので。

目標はこの地域で安定して愛される製品作り

現在は40頭の牛を育てるまでになりました。牛乳、ヨーグルトなどの乳製品に加えて昨年からはプリンの製造も始めています。その中の一つ「殿様プリン」は、売り上げの一部を福島県相馬地方の歴史絵巻「相馬野馬追」の継承事業などに寄付しています。各商品はネットでの販売の他、神石高原町、福山市、尾道市のスーパーや個店、道の駅などで販売しています。

小さな牧場なのでまだ順調という訳ではありませんが、これからも試行錯誤をしながら、より良い製品を作っていければと考えています。これからの目標は、私たちの作った製品が、この地域のみなさまに愛されて、安定して買っていただけるようになることですね。

■ PROFILE
1974年生。福島県出身。北海道で牧場の経営と福島県でシイタケの栽培を行っていたが、2011年の東日本大震災をきっかけに、2013年神石高原町に移住。現在は家族とともに「相馬さんの牧場」を経営。

■ SHOP DATA
相馬さんの牧場
神石郡神石高原町時安5332-2
https://www.somasranch.com/

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