INTERVIEW No.844
平田瓦工業 (有)(ひらたかわらこうぎょう)
代表取締役 平田 仁彦 さん(50)
瓦、屋根というものづくり
祖父がセメント瓦の製造販売を笠岡で始め、父が約50年前にこの地で瓦の施工会社を興しました。私は高校の春、夏、冬休みに実家でアルバイトをして、この業界のものづくりに魅力を感じ、同じ道を進むことに迷いはなく、大学は建築学科へ進んで住宅をメインに学びを深めると、卒業後すぐこの会社の一作業員として現場に出ました。
代表になったのは30歳。受注、材料手配、日程管理、集金など、事務的な仕事が増えたとはいえ、今も現場で汗をかいています。今年の夏は特別暑く、屋根の上に居るだけでも体力が要りますが、オフは登山やドライブを楽しみますから、体を動かすこと自体も好きなんです。
自社施工に自信、安全を確保
瓦屋根、ガルバリウム鋼板をはじめとする板金屋根、樋の他、太陽光発電など住宅の屋根まわり全般を手掛けています。新築もリフォームもです。
自社の社員による施工を基本に、品質と精度に重きを置いて責任をもって工事をしています。料金面は変に儲けても仕方がないという考えです。声をかけてもらったからには少しでも価格を抑えて、その家に住んでいる人や元請けの負担にならないよう、力になれるようにと心がけています。
とは言っても、自分一人の作業ではありません。納期も気になるところですが、20代、30代の若い従業員もいるので、経験値の違いを考えて、暑さや雨など天気アプリも3つ4つ転がしながら無理のないよう指示を出します。従業員の安全確保が第一です。彼らが本当に一生懸命働いてくれるおかげで成り立っていますからね。息子も高校から手伝ってくれています。継いでくれと言ったことはないですが、昔の自分を見ているようです。
細く長く、次の代も
仕事をさせてもらっているエリアは、北は庄原、南は因島、西は三原、東は岡山あたりまで。クチコミで広がり、お陰さまで飛込営業もしていません。
日本を離れ、アメリカでの仕事も引き受けました。ご存知かもしれませんが、ちょうど2年前、ジョージア州アトランタにあるカーターセンターのロビーに置かれていた正願寺(甲奴町)に由来する釣り鐘を、鐘楼堂に吊るして鳴らせるようにする「平和の鐘プロジェクト」というのがありました。私は実行委員会より声をかけてもらい、鐘楼堂の屋根瓦を施工しました。瓦は船便で送り、道具を持って、コロナ禍での渡航。大変でしたが、そばを通る人が皆足を止めて施工を見てくれるような仕事で、平和に貢献することもできました。
今後も「このまま」を維持したいというのが願いです。みんなに可愛がってもらって、息子の代も含めて細く長くー。屋根周りを専門として、平田に任せたら間違いないと言ってもらえるよう誠実に一生懸命、実直にまじめに、できる限りのことをしていきたい。そうすれば願いは叶うと信じています。
■ PROFILE
■1973年生まれ。福山市出身。建築学科で住宅を専門に学び、父の経営する平田瓦工業に就職。30歳で代表就任。2022年「平和の鐘プロジェクト」で渡米し瓦葺を手がけた。
■ SHOP DATA
平田瓦工業 (有)(ひらたかわらこうぎょう)
広島県福山市新市町相方772
TEL:0847-51-3780
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