INTERVIEWEE
NPO法人 どりぃむスイッチ
理事長 中村 友紀 さん(54)
若者、子どもとその保護者を支援
引きこもりがちな若者に学校や職場以外でも居場所をと、NPO法人どりぃむスイッチを立ち上げて10年。理事長の中村さんはそのきっかけを、我が子だったと振り返る。
「中学2年で学校に行きにくくなり、その後高校も中退。最初の頃の私は、家から出してしまえば学校に行くだろう、くらいに思っていました。が、そうではなかった…。他にも同じように悩み、情報や居場所を必要とする人がいると思い、活動を始めました」。特に高校中退や卒業後、家以外の居場所がないと結果的に引きこもることになるケースも多いという。「自分自身がその時大変だったので、親同士が支え合える家族会も始めました」。
委託事業、モデル事業を積極的に
2015年に厚生労働省の委託事業として始めた就労支援「ふくやま地域若者サポートステーション」は、15歳〜49歳が対象。自分の価値観に気付いてもらうことや、自分は何が好きか?何が不安か?といった自己分析など求職の前段階から相談にのっている。就職準備セミナー、職業適性検査、職場体験なども行っており、新規登録者は年に約80人になるという。
翌16年、児童養護施設などを退所した人のアフターケア事業所「カモミール」を立ち上げた。「就労支援だけでは解決できない問題にも触れ、若者支援の一環と考えて県の委託事業に手を挙げました」。この経験を元に昨年は、自立援助ホームも開所。「家庭の事情で親を頼れない若者がいます。でも中には頼れる大人もいるんだと感じてもらえる、施設を出た後も自立へ向けて安心して暮らせる場所をと考えました」。
さらにこの秋、こども家庭庁のモデル事業を受け「10代の家族のための勉強会」をスタート。毎月第3日曜日に保護者が集まり、思春期の子どもの接し方や進路への不安、問題行動への対応などテーマに沿って深めていく。「子どもを理解できたり、気持ちを話せて楽になったり、ヒントが得られることもあると思います。10代の子育てに悩まれている方であれば、どなたでも対象です」と、チラシやHPでの発信に力を入れる。
自分自身も変化しながら
「子どもや若者にとって必要だと思ったら、なんでも挑戦してきたように思います」。公認心理師とキャリアコンサルタントの2つの国家資格を取得して寄り添い、各制度の担当や就職先、病院等との“窓口”も作ってきた10年。丸1日休むことが少ない日々の中で、若者たちが教えてくれるゲームや漫画、動画サイトを楽しむのがちょっとしたリフレッシュになり、共通の話題で話を弾ませているという。「我が子も様々な交流を経て働き始めた経緯があります。悩みや不安を抱えこまずに、一歩を踏み出してみませんか?」と大きく手を広げて待つ。
INTERVIEWEE DATA
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