INTERVIEWEE
福山自動車サービス有限会社
社長 池添 浩康さん(58)
車と人をトータルにつなぐ
御幸町に拠点を置く福山自動車サービスは、新車・中古車販売、整備のほか、福祉車両のレンタルや、キャンピングカー製造など、カーライフに関わる多様なサービスを展開する企業。カーディーラーに約10年勤めて2006年に独立した池添さんが、「貝原鈑金」の事業を2008年に継承し、その後、整備やメンテナンスなど車全般に力を入れようと、社名を福山自動車サービスへと変更した。
車椅子のまま乗り降りできる福祉車両レンタルへの取り組みは、施設からのニーズに応える形で導入を決断。福山エリアでは当時、専門の事業者がなかったこともあり、利用者からの反響も大きかった。新車購入前の試用としての利用はもちろん、「親を連れて旅行に行きたくて」という声も寄せられる。整備や点検、使い方のサポートも手厚く、地元の高齢者や家族にとっても安心して頼れる存在だ。
走るホテル「ホタル」を自らデザイン
コロナ禍の閉塞感の中で、一念発起。自らキャンピングカーの設計・販売に挑戦した。ベース車両はスズキのエブリイワゴン。コンパクトながら快適さを追求し、内装から設備配置まで、図面はすべて頭の中に描いたという。「娘が幼い頃、ホテルのことをホタルと呼んでいたのを思い出し、夜に活躍する宿泊空間としての性格も重ねて名付けました」。走るホテル「ホタル」が誕生した。
池添さんの趣味は車を直すこと。「誰もが安心して移動できるように」という思いが根底にあり、おもちゃの修理や包丁の研ぎ直しなど、「直して使う」ことを楽しむ精神も根づいている。会社では度々お好み焼きを焼いて振る舞うこともあり、社員からは「みんなのお父さん」と親しまれ、社員も本物の家族のように屈託なく笑い合いながら、地域に根ざしたサービスを届けている。
それぞれの人生に寄り添いながら
整備に力を入れたあまり、「車を売っているのを知らなかった」という顧客もいたという苦笑いのエピソードもあるが、実際はスズキの看板を掲げ、国産全メーカー・全車種に対応中。「車のことは何でもやります。こだわりがなさすぎるのが特徴かというくらい。ただ、一生懸命相手のことを考えます。そうすると、潜在的なニーズに気付くことがあって。〝大事に乗ったけど、もう修理するより買い時が来たね”と背中を押したり、逆に“今は子どもにお金がかかる時期だし”と止めたり。人生設計に寄り添って考えるのが大事」と語る。
熊野町で育った池添さんは、野球やソフト、柔道などスポーツに打ち込む少年時代を送った。3人の子どもたちもサッカーに夢中で、海外で活躍する人もいるほど。現在、高校生の長男は、卒業後は専門学校で学んで他社で修行を予定し、後を継いでくれるだろうと頬を緩めた。
INTERVIEWEE DATA
福山自動車サービス有限会社
福山市御幸町森脇388
TEL:084-955-0507