【異業種リレーの「わ」No.792】本との未知なる出会いを楽しんで

INTERVIEW No.792
本屋UNLEARN(アンラーン)
店主 田中 典晶さん(64)

丘の上の本屋さん

 「アンラーン」はカフェ・シェアルームスペース「風の丘」に併設する本屋です。今読んでおもしろい本を選び、置いてあります。店の奥にはギャラリースペースもあり、さまざまな作家のアート作品などを展示しています。
 店がある場所は丘の上なので、風が気持ちよく吹きぬけ、そこから福山市街地を臨むロケーションにはすばらしいものがあります。お散歩がてら、気軽にお立ち寄りください。

2020年オープン

 私は島根県大田市に生まれ、高校を卒業するまでその町に住んでいました。福山に移り住んだのは、大学を卒業後、広島県の教職試験で採用されたのがきっかけです。58歳で早期退職するまで、福山市内の複数の高校で国語の教師をしていました。
 この本屋は私が61歳の誕生日にオープンしました。なぜ本屋を始めようと思ったのかというと、もちろん本が好きだということもありますが、自分の思うような本屋がなかったので、じゃあ自分でやってみようかと思ったのです。

「今」が体感できる本

 私たちは毎日「今」を生きているように見えて、実際はただルーティーンをなぞっているだけという場合が多いんじゃないでしょうか。そんな時、すぐれた本を読むことで解像度の高い「今のリアル」を考えることができるようになると思うのです。
 例えば芥川賞作家の小山田浩子さんは、生まれも育ちも広島で、現在も広島市在住です。同じ風土の「今」を呼吸していることがよく伝わってきて親しみがもてる作家ですが、小説を読むと、そこでは表面上ふつうに見える家族の中にあるさまざまな危うさがハッとするほどさりげなく描かれたりすることが多いのです。つまり作家が作品で「今の本当」を描くのを読むことで、私たちもまた「今」を見る目を育てているんじゃないかと思うんです。
 私は作家とのそんな関係を作れるような本を多く置きたいと思っています。

イベントも開催

 「アンラーン」では読書会やトークショー、コンサートなどのイベントも開催しています。「みんなでつくる中国山地」という本の発刊記念トークショーやオープンダイアローグのワークショップなどは定期的に開催しています。年代、性別に限らずいろんな方が参加されているので、興味のある方はホームページや、店主が発信しているインスタグラムなどをご覧になってください。
 どんな本を読んでいいか分からないという人、どうか当店で本を手に取ってみてください。きっと「これかな」という本に出会えるはず。その本こそが、あなたが「自分になる」ための入り口なのです。

■ PROFILE
1959年生。島根県大田市出身。福山市内の公立高校に国語教師として勤務。退職後の2020年「本屋UNLEARN」をオープン。
■ SHOP DATA
本屋UNLEARN(アンラーン)
広島県福山市東深津町6-3-58
定休日:水曜、第3火曜
TEL:084-927-7001
https://unlearn-books.com/
インスタ:@unlearn_books

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