【異業種リレーの「わ」No.739 】職人の心を込めた丁寧な仕事

INTERVIEWEE No.739
北村植恵園(きたむらしょくけいえん)
専務 北村 陽平 さん(36)

三代続く久松台の造園会社

 93歳の現役庭師の祖父が、約50年前に興した造園会社の三代目です。新規参入も多い福山では中堅にあたり、祖父が代表、父が社長、私が専務として会社を盛り立てています。
 拠点は久松台。事務所の裏には山が広がる自然豊かな所です。自前の高所作業車や園芸工具、灯篭などの石材を集めており、毎日ここから現場へと向かっています。
 祖父が築き上げた個人宅やお寺に庭を造る仕事やそれらの定期的な維持管理の仕事を基盤に、父の代からは公共事業へも参入しました。現在は、街路樹の植樹や年間の維持管理を請け負っています。仕事は、祖父と職人のチームと、父と私のチームに分かれ、それぞれ別の現場を担当しています。手がけるのは和の庭が多いですが、洋の庭もお任せください。

27歳で造園業の世界へ

 兵庫県の大学へ進学するため、18歳で実家を離れました。卒業後も関西に留まり、会社員として5年間勤務。帰郷と同時に北村植恵園に入社しました。27歳の時です。
 家業に関わるのは、枝葉集めの手伝いをした、高校生の時以来。父の指導のもと、1日でも早く戦力になれるよう仕事に励もうとした矢先に高所から転落してしまったんです。手首を骨折する怪我で、3ヶ月間の戦線離脱。この事故で、造園の仕事は危険と隣り合わせなのだと痛感し、以後安全への配慮は抜かりの無いよう、気を引き締めて作業に当たっています。

職人の技と心を受け継ぎ

 造園の世界に入って、今年で丸8年。一人で切れるようになるまでに3〜5年を要すと言われる、松の扱いにも慣れてきました。松の剪定では、大きな鋏でバッサリ刈り込むことはせず、枝葉一つにつき、外側の古葉を除去した後に内側の若葉を整える、という作業を繰り返し行うのですが、これに熟練の技が必要とされるんです。時間も手間もかかるため、作業完了後の達成感はひとしお。剪定前の葉が茂ってモッサリとした姿から、木が本来持っている生命感に満ちたキリリとした姿に変わったのを見ると、嬉しい気持ちになりますよ。
 単に切るだけではなく、植物の特性を熟知し、長年の経験で光の差し込む方角や角度を見定めて剪定を行う。こういった丁寧で心の込もった仕事が職人ならではの仕事です。全てお任せいただく以外にも、お好みやご要望に応じることもありますが、それでもプロの目から見た暮らしやすさを考えた提案を心掛けていますね。
 近年の課題は、人員増強です。祖父の代からのお得意様から新規のお客様まで、事業は順調に推移してきました。手先を使う仕事で、女性の感性も活かせる業界の良さや特色は、まだまだ知られていないと思いますので、私の代では新たに職人のやりがいや面白さなどの発信役を担い、仲間を増やしていきたいです。

■ PROFILE
1985年生。福山市出身。兵庫県の大学を卒業後、一般企業に就職。5年後の2013年、退職を決めUターン。27歳で実家の「北村植恵園」(福山市久松台2丁目12-1、TEL084-921-1591)に入社、専務に就任、現在に至る

■ SHOP DATA
北村植恵園(きたむらしょくけいえん)
福山市久松台2丁目12-1
TEL:084-921-1591

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