INTERVIEWEE
Boulangerie sogii(ブランジェリー ソギー)
代表取締役 細木 博 さん(41)
福山市内に3店舗をオープン
駅家店、神辺店に続いて、今年7月、西町店がオープンしたソギー。平成21年に28歳で独立した細木さんが、「長く勤められるパン屋を」と志し、スタッフに支えられて12年で築き上げた。
「幼い頃からものづくりが好きだった」という細木さんは19歳でパン職人の道へ。「食べることが大好きで、当時付き合っていた彼女=のちの妻が、調理師だったこともあって、何も知らない世界へ飛び込みました。やってみると、これが面白くて! 3ヶ月後にはもう、自分の店を持つという夢が芽生えていました」。流れ作業の一部ではなく、生地作りから焼き上げまで全ての作業をやりたいと、当時決して安くはなかったオーブンを購入すると、家でもパンを焼いていたそうだ。休みの日は、市内の繁盛店を巡り、時には大阪まで足を伸ばし、舌を磨いたという。
楽しみながら定年まで働ける店
22歳で結婚、23歳で幼い子を連れて大阪へ修行に。福山に戻ってからは、2〜3人で全体を回す家庭的なパン屋から、給食のように100㎏を練るパン工場まで勤めることで、お店の規模を変えながらさらに経験を積んだ。
ただ「自分のパンへの情熱は自分だけの感覚。スタッフに同じ熱量は求めてはいけない。そう気付くまでに大事な仲間を何人も失った」と経営者としての間違いを痛感したそうだ。これを機に、長く安心して勤められるパン屋をめざして、細木製パン株式会社として法人化した。
今は、任せられるスタッフを見つけ、育てながらの店舗拡大。「立ち上げ後、軌道に乗るまではいつも中心で入ります」。現在は西町店ができたばかりなので、通常3時スタートのところ23時起床!で励んでいる。「体力勝負のこともしばしばですが、日々、働くぞ!ではなく好きなことを楽しむぞ!とワクワクしています。スタッフには、定年まで働くビジョンを持ってほしいので、決して無理はさせていませんよ」。
3店舗それぞれの味めぐりも
ソギーは、3店舗ともパンのラインナップが違うのが面白いところ。「お客様のニーズを読んで変えています」。住宅街にある駅家店は子どもから年配の方まで楽しめるパンが主流で、一番人気は《もちもちドーナツ》。神辺店は都会的なハード系が好まれており、《あんバター》が不動の1位。西町はローストビーフやスモークサーモンなど高級食材志向が強く、国産牛肉をたっぷり使った揚げパン《牛肉のカレーパン》が売れ筋ナンバーワンだ。
実は、4店舗目も検討中。「夕方から夜に営業する計画です」。個人的には天然酵母作りに夢中になっているとのことで「寝る時間を削ってでもパンを焼きたい。できれば寝たくないくらい。焼きたての美味しさを伝えて、多くの人に奥深いパンの世界に興味を持ってもらいたいんです」。快活な声で心底楽しそうに語り、目を輝かせた。
INTERVIEWEE DATA
Boulangerie sogii(ブランジェリー ソギー)
【西町店】福山市西町3-15-10
TEL:084-959-2905