INTERVIEWEE No.645
株式会社AFW(かぶしきがいしゃえーえふだぶりゅー)
代表取締役 千葉 二朗 さん(48)
表装業からIT業へ
㈱AFWはウェブ広告がメインの広告代理店で、私が経営するグループ会社のひとつとして、2009年に設立しました。その5年前に創業したウェブサイト制作・運用会社の㈱FIT―webと、2012年に立ち上げたプロバイダー会社㈱ADパートナーの3社で連携し、サイト・広告の立案から制作、配信までを自社グループで一貫して行なっています。
こんな風に言うと、ITを専門に学んできたと思われるかも知れませんが、むしろ全く知識はありませんでした。高校卒業後、ずっと家業の表装業を手伝っていたときに突然ひらめき、転換期が訪れたのです。
確か、2000年を迎える頃だったと思います。偶然テレビで〝おもしろCM〟の特番を目にしました。CMって積極的に見たいものではないですよね。なのに、CMを広告ではなくコンテンツとして扱っていたこの番組は、最後まで興味深く見られるものでした。これだ!と思いましたね。そして、広告をコンテンツにしたウェブサイトを作って配信すれば商売になるだろうと考え、すぐに準備に取りかかりました。
価値ある広告にするために
当時、ウェブ業界にはすでにアフィリエイト(成果報酬型広告)が存在していましたが、配信した広告の成果が上がっておらず、どこのプロバイダーもCMと同様、固定報酬型にしていました。私は、成果報酬型になる理想のサイトは頭の中にあるものの、作り方が分からず、ひたすらインターネットで調べました。プログラミング言語を、当時〝オタク〟と呼ばれていた人たちから教えてもらうなどして少しずつ知識を蓄え、ようやく完成させたのが、現在のアフィリエイトの原型といえる「比較サイト」です。内容は金融系に絞り、金利やATMの地図など利用者が知りたいであろう情報を盛り込み、企業を選べるようにして、ユーザーをセグメントし集客しました。すると、ある時からアクセス数が急増し、結果、掲載企業も増えて想像以上の広告収入が得られるようになったのです。「サイトで稼ぐ」「ブログで稼ぐ」という言葉は今でこそ溢れていますが、当時はまだ、ネットで稼ごうと考える人がほとんどいなかった時代。競争相手がいなかったからこその成功でした。
ターゲットを絞ったサイトを作って、それを広く知ってもらい、興味を持ってくれそうなユーザーを連れてくるのが、アフィリエイトの仕事です。それは当時からほとんど変わっていません。大切なのは、デザインに凝ることより、情報が分かりやすく伝わるサイトにすること。それが正しくできていれば、広告の価値が高まり、ユーザーのアクションにも結びつくのだと、私は実体験で学んできました。
ときには関東や九州の企業から、起業家セミナーの講師として招かれることもあります。講演の中で私は必ず、「不平不満を言い続けてください」と伝えています。日本人は文句を言わないことを美学としていますが、不平不満は言い続けたほうがいい。それを解決できるアイディアを思いついたとき、イノベーションの第一歩につながるというのが私の持論です。
紙媒体も必要
長くウェブ広告をメインにしてきましたが、2017年、岡山県北の月刊地域情報誌アットタウンを買収し、事業を引き継ぎました。これにより、改めて紙媒体の影響の大きさを実感できました。紙はウェブ広告の成果を押し上げてくれる、最高の看板です。
またこの事業をきっかけに、岡山の企業と連携して地元の女子中学生レーサー、野田樹潤さんを支援する活動も始め、企業としての地域貢献の面白さも味わっているところです。これからも、企業として世の中に役立つこと、自分にできることを積み重ね、新しいことにどんどんチャレンジしていきたいです。
■ SHOP DATA
株式会社AFW(かぶしきがいしゃえーえふだぶりゅー)
広島県福山市旭町8-8
TEL:084-944-3354