【寺岡製畳/寺岡 常吉】ー 高品質で良心的な価格で普及 ー 代々受け継ぐ畳職人魂を形に

INTERVIEWEE
寺岡製畳(てらおかせいじょう)
代表 寺岡 常吉 さん(83)

勝成公お抱え畳師・横山流17代目

 イ草特有の爽やかな香りが漂う空間に、伝統を守る手作業の部分と、コンピューター制御された特注の機械が共存している。ここが、水野勝成公のお抱え畳師だった横山流の17代目を継承する、寺岡常吉さんの仕事場だ。寺岡さんの作り上げる畳は広島県知事賞、福山商工会議所特別賞などを次々に受賞し、現代のトップも認める出来栄え。畳製作の講演や指導にも出向き、ビデオ教材でもお手本になる、プロ中のプロと言える存在。
 福山空襲当時、勝成公菩提寺である賢忠寺境内に住まいがあり、水をかけた布団1枚で逃げ延びたと語る寺岡さん。代々の書き物は焼失したが、疎開させた最小限の手道具1セットと使い込まれたものさしは今も残る。現在、福山城の湯殿(旧国宝)の畳40枚を修理し、築城400年に向けた令和の大普請を担っており、勝成公との縁がつながっている。しかも「これは父が50代前半で納品した畳。その修理を今私がしている」と実に感慨深そう。また、手作業で1週間がかりの寺院用の厚畳「礼盤」の、全国でもごく少数になった作り手のひとりで、全国から依頼が入る。

なぜそんなに安くできるのか

 全国屈指の技術を持って普通の畳に魂を込めるのが、寺岡製畳の真骨頂。しかもその価格が驚くほど安い。例えば、国産イ草を使用した、おすすめの特選新畳(本間)なら税込1万4千300円。古畳処分は1千100円。見積、配達、家具移動は無料。
 安さの秘密は、20年以上前から続く原料の一括買い上げ。熊本のイ草農家へ現金を持参し「生産した分を全部買いたい」と申し出て以来、中間マージン無しの仕入れが可能になった。これに工賃を加えた程度の定価で販売している。「10年、20年単位で買い替える畳は、一般の方にはキャベツやニンジンのようには相場がわからないでしょうが、そこで儲ける気はないのです。いいものを安く売れば代々続く。これが家訓」。安さの本当の理由は、「営業は上手ではないんですよ」と表情を和らげた寺岡さんの職人気質ではなかろうか。

83歳現役。18代目、19代目に期待

 「私の自慢は、今日まで現役で働いていること。ちょっと触ってみて」と差し出された二の腕は、日々の仕事で鍛えられ、盛り上がっている。「畳は、クッション性、空気の清浄化、湿度調整、防音、断熱、香り…いいことがいっぱい。洋間にも合う半畳縁なしの琉球畳、色褪せがなくカラーバリエーションが楽しめる和紙畳は特におすすめでモダンです」と語る滑らかな口調にも誇りを感じる。「息子も18代目として、本当にいい仕事をするようになりました。孫にも期待しています。代々受け継いでいくために、これからも誠実で正直な仕事を続けます」。この匠、そして、この畳店を覚えておきたい。

INTERVIEWEE DATA
寺岡製畳(てらおかせいじょう)
広島県福山市東深津町2-16-31
TEL:084-931-0426

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