INTERVIEWEE
B-PARK(びーぱーく)
育成事業マネージャー/コーチ 森山 一人 さん(46)
ビーパークで野球スクール
全8打席のバッティングセンターと、プロ野球場で使用されるロングパイル人工芝の屋内練習場を併設した「ビーパーク」が7月にオープンした。
以来、着実に〈ファン〉を増やすこの施設の大きな特徴のひとつが、元プロ野球選手・森山さんの指導。中学生以下を年齢・レベル別に分けた野球スクールで伝えるのは、技術的なポイントに限らない。「今野球をできるのが当たり前ではなく、色々な人の支えがあってのことだと感じてもらいたい。同じボールを一緒に追いながら、本気でやろう!しんどくても明るくやろう!も伝えます」。優しい笑顔の中にも、譲れない思いが伺える。個人のワンポイントレッスンもあり「家での練習方法を知りたい、このポジションでうまくなりたいなど、目的を持って来る子が多いです」と受けとめる。
仲間に恵まれた選手時代
森山さんの記憶に残る最初の野球は、草野球で父の代走をしたこと。気付いたら自然にやっていたような環境で、島根県立邇摩高校エースとして出場した甲子園も「選手が集まってくる強豪校というわけではなく、近くの中学から来た野球好きのみんなと一緒に行きました。とにかく好きで楽しくて。プロ入りも、親からもらった身体能力と仲間に恵まれて入れた感じです」と謙遜も含めて振り返る。
強肩俊足で知られた森山さんだが、「楽しい野球しか知らなかった」だけにプロで違いを痛感したそうだ。「近鉄バッファローズ入団後すぐ、腐ってしまって。毎日部屋に来て頑張ろうと言ってくれたのが同期のノリ(中村紀洋)でした。レギュラーになれなくても、やめたくない。長く続けるにはどうしたらいい?と考え、とにかく出塁するためにバント、代走などを研究しました。〈スキマ産業〉みたいな極め方でしたよ」と一気に語ってくれた。「プロで記憶に残るプレーですか? 清原さんのセンターフライを落としたことです。やったぁ!よりは、しまったぁ!が忘れられないものです」と今でこその快活な笑顔を見せた。
指導者としての充実
31歳、福岡ダイエーホークスで引退。プロでの苦労を指導者としての独自メソッドに活かし、四国アイランドリーグで11年、長崎国際大学で4年務める間に、パ・リーグ首位打者を2回獲得した角中勝也選手をはじめ8人のプロを輩出した。「気付いた弱点や、強化したい点を中心に指導しました。育て上げたというより、少しの間一緒に野球をした感じですよ」。
今も子どもたちの所属チームや監督、父親など、いつもその子をみている人の方針を優先した指導を心がけ、「これも〈スキマ〉かもしれませんね」と笑う。半年前から福山市民になり「野球熱があり、本気度が高い街と感じています。野球しかできない自分ですが、しっかり伝えていきます」と語っている。
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