【異業種リレーの「わ」No.728 】「“粉体塗装”を広めるために」

INTERVIEWEE No.728
協同精機株式会社
取締役 鍵野 貴子 さん(39)

塗装会社の3代目

 神島町にある塗装会社の3代目です。祖父が起業した会社を家族で盛り立ててきました。私は、家業について詳しく知らないまま、幼い頃から好きだった造園の仕事に就いていましたが、父の体調不良をきっかけに30歳で帰郷し、経理の手伝いを始めました。
 仕事に対する受け身の姿勢が変わってきたのは、2〜3年前のこと。祖父や叔母など会社を支えてくれていた家族が減り、さらに後継者不在という現実に気が付いたんです。支えるのは私しかいない、他社でできないことをしていき会社を存続させなくてはと、この頃から経営や塗装について、積極的に勉強し始めました。

備後地方のパイオニア

 粉体塗料は、顔料、樹脂、硬化材から成る無臭の粉です。塗装の際は、粉のまま、前処理を施した金属に静電気の力を使って吹き付けます。その後、高温の炉で焼き付けることで、粉の粒子が溶けて固まり、塗膜が形成される仕組みです。
 大気を汚染するシンナー等の有機溶剤を使用しないので、欧州を中心とした世界各国で安全で環境にやさしい塗料として知られ、発展しています。弊社も、その点を高く評価し、30数年前に福山で初めて粉体塗装を導入しました。以来、その技術を磨き続け、10年前の工場移転に伴って、粉体塗装1本へと舵を切り、現在は塗装の難易度が高い大型の工作機械部品が事業の柱です。
 切る、削るなど製造の現場で使われる工作機械には、薄い部分や厚い部分が混在し、構造も複雑です。粉体塗装は、小さな隙間も得意ですし、1度で、ほかの塗料と比べて3〜4倍の塗膜を形成します。この塗膜は、水や油、日光にも強いため、過酷な環境で使われる機械を、長期間、傷みから守るのに最適なんです。
 弊社の強みは、長年培ってきた技術と経験、最新の設備で、粉体塗装が持つ性能の高さを最大限引き出し、難題にも応えられること。より高い安全性が求められる食品機械や、国ごとに認可条件が異なる輸出品などへの実績も豊富です。

塗装業のイメージ一新

 現在、私は、3Kと呼ばれる従来の塗装業のイメージを変えようと奔走中です。粉体塗料への特化で、体や周辺環境への負担はずいぶん減ったと思いますが、それでもまだまだ。
 工場は、日本一クリーンにと美化に努めていますし、私自身、小学生の子を持つ母ですが、男女を問わず家庭と仕事の両立をして欲しいと思っていて、育休取得促進や応援体制も整えています。今ちょうど男性工場長が第一子の誕生に伴い育休中。彼が不在の3か月間を、私を中心にみんなで守っているところなんですよ。
 今後は、粉体塗装を武器に前進するのみ。現在の事業に加え、造作家具や看板など、より身近なものへも事業を広げ、もっともっと粉体塗装を世の中に広めていきたいです。

■ PROFILE
1982年生。福山市出身。大阪府の専門学校で造園について学び、ガーデンデザイナーとして活躍したのち帰福。2012年、実家である協同精機株式会社に入社、現在に至る

■ SHOP DATA
協同精機株式会社
広島県福山市神島町11-15
TEL:084-983-1114

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