INTERVIEWEE
アパレルアイ 株式会社
代表取締役 福永 浩士 さん(49)
はき心地とキレイに妥協なし
昭和58年創業のレディースボトム専門会社「アパレルアイ」。商品企画と販売を手掛ける同社は、テレビ通販「ショップチャンネル」をはじめ、カタログ通販や自社ECサイト、百貨店など幅広い流通により存在感を放つ。50代から60代後半の女性をボリュームゾーンとし「はき心地がよく、きれいに見えるパンツ」として定評があり、近年は海外からも同社のブランド商品を取り扱いたいというオファーがあるなど、新たな市場も広げている。
銀行員からの転身
代表の福永さんは、銀行員としての長いキャリアを持ち、40歳を前に「自分を見つめ直して」アパレル業界に飛び込んだ。創業者である父を約10年にわたり支えながら、営業や経営企画室長として手腕を発揮。2021年に社長に就任した。数字に強く、決算書等の分析にも長けており、客観的な判断で組織を先導する一方、デザインにおいても妥協はない。特に自社ブランドでは、「年齢を重ねた女性のトルソーに沿ったパターンを社内で作り、社員の声を取り入れながら、どう見られたいか、どうカバーするか、0・5㎝、1㎝の細かな修正をしながら何度もサンプルを出し、キレイを求めます」と語る。
経営者としての今を「自分の意思で動かすダイナミズムは、大手では経験できなかった。責任も負いますが」と表現する福永さん。人柄をうかがわせるエピソードも少なくない。自身の自慢は「三色ボールペンの緑色を使い切ったこと。それから、長嶋監督や三村監督、黒田選手、イチロー選手とのエピソードを語れること」と茶目っ気たっぷりに話す。学生時代はアーチェリー部に所属し、宮崎での合宿中にプロ野球選手と交流があったのだという。
働いて良かった、有って良かった
地域に感謝を込めて年に2回「ファミリーセール」を開催。第10回となる次回は、11月7日と8日。サンプル品や訳あり品、在庫に加え、正規品や新作まで採算度外視の特価で販売する。「卸売やネット通販では、お客様が商品を選ばれる姿や喜ばれているお顔を直接みることはありません。40年以上福山で仕事をさせていただいている恩返しの気持ちを還元するとともに、私たちにとっても嬉しいことなんです」と語る。厳しい検品を経たB品は「私が見ても気付かない小さな汚れやキズのこともある」という程度。お得感いっぱいで、年々来場者を増やしている。
今後について「社員やパート、会社に関わる皆さんに、アパレル アイで働いて良かったと言ってもらえる会社にしたい。そのために何ができるのかを考えるのが私の仕事」と力を込める。具体的な展望の一つとして、ポップアップストアの実績を重ねながら、実店舗への足掛かりも模索する考えだ。
INTERVIEWEE DATA
アパレルアイ 株式会社
福山市神辺町川南1302-2
TEL:084-960-0303