シリーズ経口血糖降下薬⑦【SGLT2阻害薬】

 2014年に登場したSGLT2阻害薬は、腎臓の尿細管での糖の再吸収を担うSGLT2の働きを妨げることで、尿糖を排泄することを介して血糖を下げると同時に、脂肪分解を促進させ体重を減らす効果があります。

 その後の臨床、並びに基礎研究によって、糖尿病治療薬であったはずのSGLT2阻害薬が、多くの臓器を保護する作用を有することが分かってきました。

 心不全の発症あるいは再発リスクを減らすことが明らかとなり、現在は、慢性心不全治療薬として一部のSGLT2阻害薬が使用できるようになりました。海外の大規模臨床試験で収縮不全による心不全(HFrEF)の治療薬として承認されていますが、拡張不全による心不全(HFpEF)の患者さんへの有効性も検証されているところです。

 またSGLT2阻害薬の尿細管保護作用が明らかとなり、糖尿病の有無を問わず、慢性腎臓病の予後を改善させることが報告されました。糖尿病性腎臓病に対し、RA抑制系降圧剤やGLP-1受容体作動薬とともに、実臨床において腎保護効果目的でSGLT2阻害薬を積極的に使用されるようになってきています。

 さらに、糖尿病患者さんの多くに合併するNASH(非アルコール脂肪肝炎)は肝硬変や肝臓癌に進展していく慢性肝疾患でありますが、SGLT2阻害薬が肝の脂肪蓄積を減らすのみならず、肝線維化を改善させる作用があることが分かっています。

 SGLT2阻害薬は、尿路感染症や脱水、筋肉を分解してしまうサルコペニアなどへの懸念があります。従って、高齢者などへの安全性に配慮しながら、これらの臓器保護作用を発揮させることが必要な患者さんに対して、適正に使用していくという方針のもと、SGLT2阻害薬を積極的に活用しています。

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