INTERVIEW No.861
備後ピザ
ピザ職人 鈴木 光男 さん(59)
イタリア修行、ホテル料理長
小学生のとき食べたピザに感激し、料理人の道を歩みました。1998年にイタリアに渡り、ローマやミラノの名店でナポリピザの職人技と料理を学び4年後に帰国。サルヴァトーレ・クオモの青山、代官山、六本木ヒルズ、上海…立上げ時4店の料理長を務めました。「備後ピザ」の代表を任せている妻・千代子は上海店の同僚です。
その後、リゾートホテル・ベラビスタで料理長としてお世話になることとなり、Iターンで田島暮らしが始まりました。13年務めた後、尾道U2で2年間。温かく迎えられ支えていただいた恩返しを何かしたいと思い、微力ながらここ田島を拠点に独立を決めました。
バラの天然酵母、田島海苔で
備後ピザは生地も具材も、できるだけ地元産にこだわっています。ナポリピザを食べるならイタリアや日本のお店でも食べることができます。ナポリの〝再現〟ではなく、その先を行きたい。ここでしか食べられないピザを、と考えたのです。
近隣の食材は素晴らしいです。生地は福山のバラの天然酵母を使っています。イースト発酵なら3〜4時間で終わるところ薔薇酵母は32時間。もちっとした芳醇な香りが特長ですが、パンと違って注文いただいてから焼きますから、タイミングに苦心しました。内海町産の具材としては、田島の海苔、「うつみ潮風豚」、「うつみ牡蠣小町」などがあり「うつみ海苔と瀬戸内しらすチーズ」が一番人気です。「田尻杏とゴルゴンゾーラチーズ」のようなデザート系も含めて定番14種に、季節替りメニューも準備。薪になる木を調達し、自分で薪割りをして、ピザ窯に火を入れ焼き上げています。
地産地消で食品添加物フリー、地元で採れた野菜もたっぷり使っていますので、毎日食べて健康にいい、罪悪感のないピザですよ。ハーフ&ハーフで、ぜひ色々な種類を召し上がってみてください。
食やイベントで島おこし
週末は田島で営業することが多く、庭のテラス席で潮風を感じながら、あるいは2階の部屋から穏やかなビーチを眺めながらゆっくりと過ごしていただけます。平日はキッチンカーで福山市近郊へ出向いて焼き上げています。
田島の店舗では、子どもたちが自然を学べる居場所づくりを目指して庭を開放。部屋ではフトアゴヒゲトカゲも出迎えます。妻を中心に「備後マルシェ」を主催し、先日の第3回備後マルシェでは、地元で活躍する人たちのステージやフードの他、親子で体験できる15のワークショップも企画しました。
2月にオープン2周年を祝ったところで、時々イタリア料理はしないの?との声もいただきます。予約制でオードブルの持ち帰りの相談に乗る程度です。限られた人数では中途半端なサービスになりますから。料理人を志した初心に正直に、これからもピザ一筋で島を盛り上げたいと考えています。
■ PROFILE
1965年東京都出身。イタリアに渡りピザ職人の技術や料理の極意を習得。サルヴァトーレ・クオモの国内外4店、ベラビスタ、尾道U2の料理長を歴任し、2023年備後ピザ開業
■ SHOP DATA
備後ピザ
広島県福山市内海町3426
TEL:090-3064-3347
※キッチンカーの場所や日程は/@kitchen_service_suzuki