【異業種リレーの「わ」No.772 】貴重な建物を未来へつなげるために

INTERVIEW No.772
ギャラリー 蔵(くら)
オーナー 牧平 真由美さん(51)

築250年の蔵を改築してできたお店

 このお店の建物は約250年前に建てられた浜旦那(塩田の持ち主)の宝物蔵を改築したものです。元沼隈町長で古民家の研究者だった倉田久士先生が調査をされ、松永に唯一残る貴重な蔵だと分かりました。それを聞いた所有者の岡本さんが保存を目的に改築され、ギャラリー喫茶として開店されました。今から25年前のことです。
 私が初めてこのお店を訪れたきっかけは友達がお店のお手伝いをしていたからです。友達が話をしてくれていたこともあるのですが、岡本さんは初対面から私にとてもフレンドリーに接してくれました。お店の雰囲気もとても良く、私はすぐに常連になりました。十数年前、オーナーの岡本さんがご病気をされた時、「お店を任せたい」とお願いされました。私は20代の頃、倉田先生が主催する「ぬまくま民家を大切にする会」に参加していたのですが、その倉田先生からも「江戸時代の建物を手がけることは君の人生で2度とないよ。勉強になるよ」と背中を押されました。いろいろな運命を感じ、2代目オーナーを引き受けることにしました。私が38歳の時です。

地域コミュニティーの中心地

 お店は現在、1階のギャラリーで工芸品や染め物、旬の野菜果物などを販売、2階はコンサート、ライブ会場や、英語、ピアノ教室、お花や絵手紙などのカルチャー教室としても利用いただいています。その他には、柿渋製造をやめるという方から頂いた機械を使用して柿渋の製造販売や、福山大学と共同でイグサを育てています。イグサは「さをり織り」さんとコラボしたゴザなどの製品にしています。それから農業法人ファーム立神さんからお願いされ、規格外のいちじくの販売もしています。7、8年前に私が「立神の九(いちぢく)」と名前をつけ、ブランド化しました。※九(く)の一字(いちじ)でいちじくと読みます。熟してから収穫されるいちじくなので市場に出ている一般のものより、ずっと甘くて美味しいと好評です。
 また、お店は地域コミュニティーの場にもなっています。みなさん気軽に立ち寄って寛いでいただいています。
 友達にもいろいろあると思いますが、私はちょっとしたことを気楽に頼める友達が本当の友達だと思います。昔ながらの「持ちつ持たれつお互い様」の関係性が、ゆるそうに見えて実は一番強いと思います。このお店の常連さんみなさんには、そういう昔ながらの関係性があると感じています。
 現在、この建物は老朽化のため修繕を行う必要に迫られています。そのための募金活動やクラウドファンディングも試行錯誤しながら行っています。この貴重な建物を地域に必要とされるコニュニティーカフェとして、代々引き継ぎながら未来まで続けていけたらと願っています。

■ PROFILE
1971年生。福山市出身。2019年初代のオーナー岡本さんから「ギャラリー 蔵」のオーナーを引き継ぐ。店舗の経営のほか、柿渋作り、イグサの栽培など多岐に渡って活動。

■ SHOP DATA
ギャラリー 蔵(くら)
福山市松永町6-11-34
TEL:084-933-2620

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