INTERVIEWEE
おばんざい 山ろく
店主 松枝 誠 さん(47)
ラグビーで鍛え、割烹料理店で修行
「おばんざい山ろく」の店主・松枝さんは、日本料理が専門。福山の調理師学校で学び、大阪の割烹料理店で修行した。「芸能人や政治家も来店される店で、厳しいおやじさんの元、6年の間に基礎から叩き込んでもらいました」。同僚が半分以上辞め、寮には松枝さん一人という時期もあったが、まかないと洗い物に始まり、下処理、焼き物…と次第に任されることが増えていった。「何度も帰ろうかと考え、その度に身に付けて帰りたい思いが勝って、女将さんや先輩にも支えてもらい踏ん張りました」。
人一倍の粘り強さは、高校時代にラグビー部で心身を鍛えたのが原動力。「〝あれよりはいいか〟という経験があったからでしょうか。必死でくらいつき、店を持てるところまで教えてもらうことができました。今でも2、3年に1回は家族で大阪へ顔を見せに行っています」。畏れと尊敬、感謝の思いで語る。
地物と旬の食材で作るおばんざい
オープンは2010年6月、32歳のとき。祖父母を応援しながら営んだ「山麓」の名を受け継ぎ、すぐ側に店舗を新築した。「〝おばんざい〟と付けたのは割烹よりも親しみやすい店を目指したから。京都弁の女将さんが作ってくれる〝おばんざい〟が美味しかった記憶もありました」とも言う。カウンターの大皿に何種類もの料理が並んでいるところを想像するが、山ろくでは下ごしらえまでしておき、注文を受けて1品ずつ仕上げるスタイル。「その分お待たせしてしまいますが、衛生的で出来立ての美味しさを提供できます。備後のお客様の好みに合わせて、味付けもアレンジもしています」とこだわる。
瀬戸内の魚、笠岡の野菜と黒毛和牛など、メニュー化には地物と旬を大切にする。毎年お客様にもらうユズやスダチで仕込んだお手製ポン酢でいただく「サワラのタタキ」も絶品。通年提供の「おでん」、「どて煮」、レシピを請われることも多い「ポテサラ」は、大抵のお客様がオーダーする人気メニューだ。高級料理から気軽なフライドポテトまであり、家族で安心して来店できる。
記念日やお祝い、接待、宴会にも
大切な節目に利用して欲しいと、各種コースも準備。行事や予算に合わせた料理はもちろん、お食い初めのいわれにあわせた料理や、1歳の誕生日なら筆や箸、算盤…、長寿の祝いなら、ちゃんちゃんこや帽子等の小道具を揃え、貸切も相談できる。「うちの子がアレルギー体質で」と予約時の確認も忘れない。
山ろくも15年目の節目を迎えた。「あのお子さんがお酒が飲める年になったんだ!とか、結婚や出産の報告に来てくれるのが嬉しいことです。反対にランチでは、せっかく来店いただいたのに満席でお断りするのがつらくて。遠慮なく確認のお電話をください」と語る。日本の味を伝えながら、お客様と共に歩む姿勢は、これから先も変わらないだろう。
INTERVIEWEE DATA
おばんざい 山ろく
福山市大門町4-21-36
TEL:084-983-0960
https://www.sanroku.net