【書道家/髙渕 和恵】        黒と白の世界に広がる魅力

INTERVIEWEE
書道家 髙渕 和恵 さん(45)

ママ書家フッチー

 福山市在住、大学2年と高3生の母である髙渕さんは、「ママ書家フッチーの筆あそび」と題して、SNSで活動を発信中。書以外にも展覧会の題字や市内外のお店の看板、表札、商品ロゴ、幟など、日常的に目に触れる物を幅広く手掛けている。
 特徴は、「隷書体をベースに簡略化した読める前衛書」。〈咲〉という字の口篇がバラの花になっていたり、〈樹〉という字の1画目と2画目で鳥の形を表現していたり。〈笑〉という字は、目があって笑いかけてくるように見える。「余白に心を配りながら、少し丸みを帯びるように書いた字が〝フッチーっぽい〟〝和ちゃんらしい〟と言われます。書の町福山に、自分の書があるのが嬉しいです」。

願いを口に出して叶える

 小学3年生のとき近所の書道教室へ体験に行き、「墨と書の空間に感動して、母に自分から習いたいと伝え」、前衛書の大家・書道家の大楽華雪先生に師事。就職、結婚、長女出産後も続けて、次女の出産で中断したが「長女が〝習いたい〟と言い出したことで私もウズウズして」、大楽先生の前に2人で席を並べた。
 その後、参加したいと願っていたルクシアタで、書をアイアン作品にして壁に投影、立体的な世界を表現するなど、髙渕さん流の書の可能性も発信してきた。福山市市制施行100周年をきっかけに発足した福山琴をアピールするグループ「コトノネプロジェクト」にも参加。ハッピのロゴを担当し、今も演奏を続けている。「100周年に書で関われたらと思っていました。今度は福山城築城400年です!」。近年、願うこと口に出すことが夢を叶える第一歩、と実感しているそうだ。

縁や経験を発想につなげて

 「ついこの前まで人見知りな主婦だった」と振り返るが、ママ書家、箏奏者以外の顔もある。思い出のイラストをフェルトマスコットにする作家としての仕事もあれば、芦田川河川敷の運動会で有名な市民団体・芦活部の写真担当もしている。「他の経験も、文字へのインスピレーションに繋がっている気がするんですよ」。
 自分の人生を一文字で表現するならとの問いに、迷うこと無く〈楽〉と答えた髙渕さん。「昨年は父を亡くし筆を置きたい日もありましたが、楽しく過ごそうと自分を奮い立たせ、口にすることで新たな縁も結ばれました。黒と白の世界に広がる、字が持つ魅力や楽しさを伝える人になりたいです」と語っている。

INTERVIEWEE DATA
書道家 髙渕 和恵
TEL:080-5236-1973

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