【異業種リレーの「わ」No.777】印鑑の良さが広まって欲しい

INTERVIEW No.777
天尚堂(てんしょうどう)
店主 贄田 勲 さん(54)

創業60年の印章店

 「天尚堂」は1962年に私の祖父が始めた印章店です。実印、銀行印、認印、ゴム印などの印鑑、ハンコの作成の他、名刺も作っております。
 私は東京の大学に通い、そのまま都内で就職していました。働き始めて2年が経った時、父から実家の手伝いをして欲しいと言われました。「いつかは福山に戻るんだろうな」という思いはずっとあり、心の準備はできていたので、仕事や生活を変えるためらいは、さほどありませんでした。

印鑑を作るには

 印鑑は、まず印材を選び、好きな書体を選んでいただいて、作成を始めます。
 書体はいろいろありますが、実印だと吉相体が人気です。吉相体は印鑑のために生み出された書体で、偽造がしにくいことと、字を四方八方へと伸ばしたデザインのため、印鑑の耐久性を上げるというメリットがあります。
 印材の素材は様々ですが、こだわって作られる方は、柘(つげ)や白水牛、象牙などの高級な印材を選ばれます。花柄や短いタイプのものは特に女性に人気です。

印鑑の需要

 私が働き始めた約30年前から、印鑑がとても売れたという記憶はありません。ずっとお付き合いのある常連の方や企業様が定期的に購入されるという感じです。一時期、猫の形のシャチハタが売れたことがありましたが、業界全体を揺るがすようなブームや商品はなかったと思います。
 40歳の時、父から店主を引き継ぎましたが、その少し前からパソコンの普及によって、印鑑の需要が目に見えて少なくなっていました。書類そのものが減ったことに加えて、デジタル署名が増えたからだと思います。現在、政府が推し進めている「デジタル化政策」により、印鑑の需要減は、さらに加速している印象です。
 印鑑を必要としない方たちは「印鑑を使っているのは日本くらいだ」と言います。けれども最後に印鑑を押して締めくくる文化は、日本人の丁寧さと生真面目さを表現する、とても良い文化だと思います。

印鑑の良さを広めたい

何十年も「天尚堂」を必要としてくださっている方々や企業様のためにも、このお店を一年でも長く続けていくのが目標です。それと同時に、若い人の間にも、印鑑の良さが広がってくれればと願っています。  以前は高校の卒業式で、卒業生に認印を贈るという文化がありましたが、今は少なくなっていると思います。もしかすると、生まれてから一度も印鑑に触れたことがない大人の方もいるのではないかと思います。  こだわって作った印鑑は、自分自身の証明になりますし、一生の財産に、きっとなるはずです。自分用の印鑑を一人一本は作って欲しいと思います。

■ PROFILE
1968年生。福山市出身。東京都の大学を卒業後、都内でサラリーマンとして就職する。2年後の1993年、地元の福山に戻り家業である「天尚堂」に入社。40歳の時に父親から引き継ぎ、3代目の店主となる。

■ SHOP DATA
天尚堂(てんしょうどう)
福山市今町1-18
TEL:084-922-6012

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