【異業種リレーの「わ」No.665 】「住まいの循環器ドクターとして価値ある仕事を」

INTERVIEWEE No.665
株式会社 豊田工業所(かぶしきがいしゃ とよたこうぎょうしょ)
代表取締役 豊田 克浩 さん(54)

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 「鉄工所ですか」とよく聞かれますが、1964年に父が創業した水道設備会社です。一般住宅や店舗、工場などの水道と空調設備工事に加え、70年代半ばから官公事業も請け負い、市内では北部市民センター、南消防署、神辺文化会館、市外では備後運動公園のプールや県警の宿舎などに携わりました。
 電気工学科を卒業後、大手電子楽器会社でプログラマーをしていた私は、父が体調を崩したことで96年に帰郷。その後、2代目の叔父から事業を引き継ぎました。
 公共事業は図面通りの精度が要求され、一方で民間の木造住宅は大工さんと打ち合わせながら作業します。今!という時に工事しないと埋められ、壁も張られてしまうため、タイミングは逃せません。作業中に他で水のトラブルが発生すれば誰かが向かわなくてはならず、改めて適格な人員配置を考えるなど迅速な判断が要求されることもあります。
 工事は配管、土木、電気、ガス設備など多岐にわたり、それぞれ資格を要します。私は当然ですが21人いる社員も積極的に取得しています。また社内から声があがって、この7年で女性全員がヘルパー2級と福祉用具専門相談員の資格を、うち2名が福住環境コーディネーターを取得。これにより、介護保険を使ったトイレなどの改修工事もスムーズに行えるようになりました。願わくば「介護リフォームなら豊田」と言われるまでに成長したいです。

ライフライン事業者として

 水道事業は生活の基盤。待ったなしの状況になることが多々あります。とりわけ大寒波の到来時は凍結による破裂が多発し、当社でも1日に60件走り回ったことがあります。
 水道管は、最低気温がマイナス4度になると凍り始めます。前日に天気予報を確認し、冷え込む日は屋外の排水管にタオルを巻きナイロン袋を被せる、水を少量出し続けるなどの対策が有効です。浴室の窓の閉め忘れにもご注意ください。浴室が氷点下に下がり、蛇口が破裂してしまいます。凍結トラブルは全市一斉に起こるため、修理にはなかなか伺えません。ひとまず水道の元栓を閉めて凌ぐこともできますが、その場合はトイレも使えなくなりますから、十分にお気を付けください。
 近年は豪雨による水害も増えました。水道屋としては水が引くまでは何の対処もできないのがもどかしいです。せめてもの気持ちで、自社ビルに乾パンやブランケットなどを備蓄しています。有事の際は一般の方も受け入れますので、遠慮なく頼ってください。

地域の中で生かされて

 最近思うのは、会社の存続と福山の繁栄を切り離しては考えられないということ。福山が衰退すれば我々は仕事も働き手も失い、商売が成り立ちません。そう考えると、町内会やPTAなどの地域活動も、仕事と同様に大切になってきます。ですから、当社では社員がそれを両立できる環境を整えています。
 持論ですが、今後は、受けた仕事を誠意をもって遂行する努力のほうが、新たな仕事を確保する努力より大切になりそうです。同時に、関わりある人たちを尊重することも重要になるでしょう。これは社員の姿から気付かされました。当社に出入りする業者さんに飲みものを出して会話を楽しんでいたのです。この何気ない交流が、困ったときに頼り合える関係づくりに繋がるのだと感じました。
 AI化がいくら進んでも、水を戸別配達しない限り配管の仕事は無くなりません。おそらく100年先も、今とほぼ同じ形態で残るでしょう。水道は人間の身体でいえば貴重な循環器ですから、我々は「住まいの循環器ドクター」として、この仕事の社会的価値を自覚し、より丁寧な仕事をしていきたいです。

■ SHOP DATA
株式会社 豊田工業所(かぶしきがいしゃ とよたこうぎょうしょ)
広島県福山市御幸町森脇1-1
TEL:084-955-0288

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