【 焼き鳥・鉄板焼 くしや二丁目/掛谷 貴士】ー 今日も笑顔で帰ってもらえたらー 目と舌で狙う旨さの相乗効果

INTERVIEWEE
焼き鳥・鉄板焼 くしや二丁目(やきとり・てっぱんやき くしやにちょうめ)
オーナー 掛谷 貴士 さん(52)

デザインや音楽を通じて

 幅広い年代に人気の「くしや二丁目」で昨春からオーナーを務める掛谷さん。気さくに出迎えてくれ、真っ先に目に入るのはトレードマークとも言える髪型。洗って乾かして、その後のセットだけで15分はかかるそうだが「髪をおろしていたら、お客様に気づいてもらえないかも」。毎日のルーティーンで仕事モードに入る。
 福山の高校を出て10年ほどは、デザインの勉強と仕事で東京暮らし。当時、歌舞伎町でなぜか恐い人に追いかけられて全力疾走をしたこと、終電を逃して線路を歩いて帰っていた時、鉄橋から多摩川に落ちたが水量が多くて助かったこと…、少年のような笑顔を見せながら次々に語ってくれるエピソードは、映画のワンンーンのようだ。その頃から、パンクと共に生きてきたというから、今の見た目ともリンクしている。福山に戻ったのは30歳のとき。シルバーアクセサリーのお店に15年ほど携わった後、焼鳥屋を始め、その後、前オーナーに声をかけられたのが、くしや二丁目との縁になった。

料理も美意識、視点が大事

 人気の秘密は、店の雰囲気や料理のあちこちに見える。こだわりの鶏を開店前に自ら串打ちするのもお手の物。炒め物や揚げ物に使うホルモンは、長いまま仕入れてかなり大きめにカットする。「注文する人はホルモン好きに決まってるから。焼いた後もぷりっぷり!」。つくねは、あまり好きではない掛谷さんでも食べられる、特別なアレンジをしたそうだ。19種もあるチューハイも、その他のアルコール類も全部380円。「酔っても計算が簡単で安心でしょ」と笑う。
 また、鉄板で焼くフレンチトーストにしても、いい感じの焦げ目がついた串焼きにしても「俺が、うまそう!って思うし、スタッフもめっちゃ食べたい!って言いながら客席に運んでいく。そんな料理がこだわり」。お客様が見る角度や距離を意識して盛り付けるそうだ。「アクセサリー販売のとき、ディスプレイ時に1m半下がって見て飾っていた。今もそうしたお客様の視点は大事にしているんです」。

逆境を乗り越えて楽しい店に

 代表になって手探りで歩んで1年経ち、「よし、これからじゃ、と思ったときのコロナ。不景気とは違う痛手」だが、客足は戻りつつある。和風の調度品や裸電球が昭和レトロな雰囲気の個室が8室もあり、その強みをいかして、それを1つおきに使用。大型換気扇6基をフル稼働させ、クリーンネスを徹底するなど《7つの約束》をメニュー表と一緒に並べ、安心も提供している。「これまで周りに迷惑も心配もかけた。だから罪滅ぼしや恩返しをしたいけど、口先だけって言われそう。ただ、お店をやっている以上、お客様からもう1回来たい、とちょっとでも感じてもらえて、笑顔で帰ってもらえたら嬉しい」と思いを語っている。

INTERVIEWEE DATA
焼き鳥・鉄板焼 くしや二丁目(やきとり・てっぱんやき くしやにちょうめ)
広島県福山市神辺町十九軒屋2-1
TEL:084-962-5151

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