【真正座/大津 誓】ー お客様と劇団の両方を楽しませる ー 大衆演劇の文化を福山に

INTERVIEWEE
真正座(しんせいざ)
支配人 大津 誓 さん(37)

大衆演劇の灯を消さないために

 飲食を楽しみながら大衆演劇やショーを堪能できる芝居茶屋が昨年6月、福山市総合体育館のすぐそば、結婚式場の島茂登の跡を改装して誕生した。旅の一座の舞台がかかる芝居小屋は全国的に激減しており、かつては福山市内にも多くあったが、ここ10年程で全て姿を消した矢先。「コロナ禍だからこそ役者が演じられる場を作り、大衆演劇の灯を消さないように」とのオーナーの思いを汲み、仲間と力を注いだのが支配人の大津さん。
 「この世界の生まれでも、詳しかったわけでもないんです」。山口県長門市の出身で、サラリーマンだった頃、健康パークでたまたま大衆演劇を観た。この時かかっていたのが、九州を拠点にする小林劇団。後にこの真正座のオーナーとなる総座長・小林真さんとの出会いで、同い年ということもあって意気投合した。やがて震災直後の熊本でダイニングバーの経営を任され、今回、小林さんの故郷、広島県に芝居小屋をとの計画にも賛同した。「大衆演劇の文化があり、私も仕事でよく通った馴染みのある街、福山に決まりました」。

ふれあえるアイドル

 昨年3月に引っ越してくると、看板、告知版、招き文字、花道などを仲間と手作りし、オープンに漕ぎ着けた。客席は最大120。状況に応じて間隔を調整している。今月は劇団大川、2月は劇団ふじ、のような月替り制で、昼と夜の2回公演。小林劇団は毎年6月の周年祭で乗る。福山出身の杉ひろしのコンサートも企画している。
 大衆演劇の見所は、美しさ、勧善懲悪的なわかりやすさとアドリブ、昼夜の配役のギャップ等々。「ふれあえるアイドルなのも醍醐味でしょう。〝送り出し〟といって舞台後に握手や記念撮影などがあるのも人気です。親子、お孫さん連れ、デート、初めての方も大歓迎です」。簡単な食事のほか予約でお弁当も準備でき、各種持ち込みも可能。福山駅前までの無料送迎もする。

福山を楽しんでもらう役割も

 先月24日、大津さんは化粧と衣装で〝変身〟、福山での初舞台を踏んだ。「また出番があるかも」とまんざらでもなさそう。料理も作り施設を手入れし、SNSをほぼ毎日更新中。オープン以来落ち着いた休みは無いが、体力自慢。高校時代に軟式テニスで県の強化選手となり、プロの誘いもあったほど鍛えた。社会人になってもフルマラソンに何度も出場している。「ふくやまマラソンにも興味があります。が、まずは劇団が使いやすいお客様が通いやすい施設になるよう全力を注ぎます」と、滞在する劇団員に福山をどう楽しんでもらうかも考える。「自分で飲み食いしながらポスターを貼ってくれるお店を探し、役者さんが回ってきたらその店へ案内します。お互いが嬉しい関係づくりも私の仕事です」。裏方のようでいて、実は福山から消えた文化の灯をともす立役者だ。

INTERVIEWEE DATA
真正座(しんせいざ)
広島県福山市多治米町6-14-33
TEL:084-981-0012

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