INTERVIEWEE No.664
株式会社 文大(かぶしきがいしゃ ぶんだい)
代表取締役 中西 文仁 さん(50)
34歳で脱サラ
土木技術者としてのキャリアを捨て、リサイクルブティックを開いたのが2003年。ちょうど、ブランド品のリサイクルビジネスが黎明期の頃でした。当時から不用品をフリーマーケットで売っていた私にとっては入りやすい業界で、のちに社名を、私の幼少期の呼び名「文」と、ビジネスパートナーである弟・大輔の「大」を合わせ、「文大」としました。現在はブランド、骨董、総合リサイクルの3つを柱に事業を展開しています。
実店舗は多治米町の本店と倉敷イオン通り店の2店舗のみ。10年前までは、仕入れを強化するため中国・大連の支店を含め7店舗を経営していましたが、現在は制限し、ネットショップにも力を入れています。ちなみに本店は、時計・宝飾・貴金属を扱う「ブランドランド」と、家具・家電・生活雑貨と骨董を扱う「楽楽本舗」が隣り合わせになっています。
どん底から急成長
古物商なんて買い取ったものを右から左へ流すだけだと、短絡的発想で始めたものですから、初っ端から暗礁に乗り上げました。開店したものの誰も売りに来ないから売る商品がない。最初の2年は車を売り、保険を解約し…と金策に走り回りました。お金がない中でも商品を充実させるためブランド品を買い取り、月末が来る度身内に借金。一時は実家を売りに出す寸前まで追い詰められていました。
しかし、審美眼を養う研修会で横の繋がりができ、事態が好転。仲間に誘われて全国の古物商が集まるイベントに出店するようになり、初めて商品とお金の回し方を理解しました。仕入れルートや相場感など生きた知識もぐんぐん吸収でき、おかげで、金・プラチナの相場が上がり始めたときは、情報が知れ渡る前に高価買取を広く呼び掛け、利益を確保することができました。
ようやくビジネスが軌道に乗り、県外で古物市場(オークション)を主催する傍ら、出張買取や酒類買取、骨董品の取扱いなどを始め、事業を徐々に拡大。買取に関しては現在も一般のお客様からだけでなく、買取専門店からも積極的に受けています。専門店からは換金率が上がると喜ばれ、弊社にとってはオークションで得た手数料を確実に確保できる分、買取金額を高く設定できます。ブランド品の高価買取は弊社の強みです。
興味と憧れが相場を生む
古物商は、全てのものに金銭的価値を付けていく仕事です。常に生きた情報を収集し、鑑定力を高めることはもちろん、社会情勢や流行にもアンテナを張り巡らさなければ。相場を生み出すのは、世界中の人々の興味や憧れです。例えば、世界的歌姫が身につけただけで、シャネルのアンティークサングラスの買取価格が、3千円から20万円に跳ね上がったことがあります。また、少し前まで中国でサンゴの価値が上がっていましたが、今はもう興味が薄れたようで下がっています。
こんな風に、日々の変動が激しいこの業界において、少しずつ力をつけることができたのは社員の努力の賜物です。現在30人のスタッフがいて、ジャンルごとに抜群の目利き力を持つバイヤーがいます。審美眼は一朝一夕で身につくものではないので、この業界に興味を持った人材を集め、丁寧に育てていくのも我々の務めだと思っています。
モノの価値はAIでも定められるかも知れませんが、お客様が本当に求めている商品は会話から見えてくるものです。「文大に来てよかった」と喜んでもらえるよう、これからも一人ひとりのお客様に誠実な対応をしていくことで、「文大」に付加価値をつけていきます。同時に、為替の変動に影響されない強固な会社にするため、強めるべきものを見極め、新たな戦略を練っていきたいです。
■ SHOP DATA
株式会社 文大(かぶしきがいしゃ ぶんだい)
広島県福山市多治米町1-12-1
TEL:084-920-2413