【異業種リレーの「わ」No.703 】「未来のたんぱく源に注目! 男ウケ狙った居酒屋(オステリア)」

INTERVIEWEE No.703
押忍テリア(おすてりあ)
代表 福島 直道 さん

食事をアトラクション化

 女性と行くならおしゃれな店、男だけで集まるなら押忍テリアへ。そう使い分けてもらえたら本望! 完全に男ウケを狙った居酒屋を今年8月にオープンしました。
 イチオシは〝未来のたんぱく源〟こと「昆虫食」。オケラ、ゲンゴロウ、カブトムシ、カイコなどのフリーズドライフードです。今月登場したばかりですが、バツゲームや話のネタとして盛り上がり、予想を上回る反響で常に品薄です。味はさて置き、始めるならオケラからがいいですよ。他に、激辛のハズレを忍ばせた「ロシアンたこ焼き」をゲーム食として提供中。高級健康食品「蜂の巣」も数量限定でお出ししています。
 当店では食事はアトラクション。おいしいもの、珍しいもの、ゲテモノ、何でも食べて、楽しい記憶を持ち帰っていただきたいです。料理長を含め、スタッフ7人全員が10代、20代で元気いっぱい。朝3時まで営業しているので、「深夜回ってからでもゆっくりできる居酒屋が、駅前のしまなみ信金さんの隣にある」と覚えてもらいたいです。
 念のためお伝えしますが、普通のおいしいメニューもありますよ。ボリューミーな牛ヒレの「押忍テーキ」に、焼いたホウレン草とウニを組み合わせた広島の隠れた名物「ウニホーレン」、カリっと軽い歯ごたえの「メキシカンピザ」のほか、とん平焼きやパスタといったオーソドックスなメニューとアルコールも多数。男ウケを狙ったつもりが、お客様の6割は女性です。

大逆風下の店舗拡大

 20歳から5年間、岡山の友人の飲食店で働き、再婚して生活圏が変わったのを機に、2018年、故郷の福山でショットバー・コパン(元町)を開きました。翌年には、自分も店も次のステージに進むため、初めて人を雇用し2号店の準備へ。これが押忍テリアです。今年2月、破格の居抜き物件情報が耳に入り、即契約。貯金と銀行からの融資を元手に店内を徹底的に清浄し、ほぼ丸ごと修繕して5月のオープンに備えました。
 そこへ待ったをかけたのが緊急事態宣言でした。これはじっくりメニューを考える時間だと前向きに捉え、オープンを7月末に延期したところ、今度は市内の感染拡大でさらに延期…。このままでは家賃もスタッフの給料も払えなくなると思い、意を決してコパンのお客様や友人たちに開店宣言をして、8月14日、押忍テリアをオープン。2店経営に乗り出しました。
 開店フィーバーはわずか2日。3日目には客足が遠のきました。さすがに業界経験の浅い私でも悟りました。今は飲食業は儲けを考えてはダメだ、いかに赤字を出さないかでやっていくしかないと。とはいえ、今日に至るまで売上ゼロの日は無く、スタッフの給料を含め、必要な支払いはできています。ただ、悲しいことに私の給料はいまだゼロ。今はひたすら耐えるときだと腹をくくっています。

新常識で生き抜くため

 でも、悪いことばかりではないんですよ。コロナ前は飲食業は人員確保が至難の技でしたが、今はすぐ集まります。それに、当店は30席全てが個室か半個室なので社会的距離が確保できる環境です。毎日換気を十分にした上で空間除菌器も稼働させ、自分が率先して店内を消毒し、スタッフのマスク着用や手指消毒などのウイルス対策を入念にしてお客様を迎えています。プライベートでも行動に気を付け、スタッフにも注意喚起し、できる対策は全てとっています。
 コロナ渦の飲食業は過酷の極みですが、泣き言は言いません。飲食店はお客様に楽しんでもらう場所、スタッフも心地よく働ける場所でなくてはいけないので、トップである自分が前向きでいなければ。今後も衛生面においてだけネガティブに想像して防衛し、それ以外はポジティブに受け止めます。コロナが落ち着くことを祈るより、コロナでも来てもらえる店になるには何が足りないか、それを常に考え、新生活様式のなかで生き抜くスタイルを見つけたいです。

■ SHOP DATA
押忍テリア(おすてりあ)
広島県福山市船町7-33
TEL:084-999-0722

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