【異業種リレーの「わ」No.669 】「かけがえのない「町の電気屋」でありたい」

INTERVIEWEE No.669
株式会社 サトウデンキ(かぶしきがいしゃ さとうでんき)
代表取締役 佐藤 公彦 さん(40)

手に職つけて独立

 電気工事士として独立したのが5年前。昨年10月には、父が祖父から受け継いだ昭和23年創業の電気屋を継ぎ、社名を有限会社サトウデンキ商会から株式会社サトウデンキに改め、新たな一歩を踏み出しました。
 スタッフは私と父母、妻を含めて6人。家電の配達や取り付け、修理といった電気屋業務は父が、配線知識が必要な業務は私が中心になってしています。親の仕事には特に興味も持たず育ちましたが、それでも電気科の専門学校を出たのは、跡取りとしての自覚が潜在的にあったのだと思います。とはいえ、最初に就職したのは鉄工所。黙々と部品加工をしているうちに、電気工事がしたくなって転職しました。ちょうど、建築関係の仕事をする友人たちが、会うたびに逞しくなるのが羨ましかったのもあります。自分も語れる何かが欲しくて、職人を目指そうと思いました。
 電気工事士として初めて一人で現場に入ったのは20代半ば。友人たちと、結婚した仲間の家を建てることになり、私もいっぱしの職人として加わりました。分からないことは次の日に会社で聞き、夜な夜な配線工事に没頭。時間は今の3倍くらい掛かりましたが、満足のいく仕事ができ、友人にも喜ばれました。この経験が大きな自信になり、「10年修業したら独立する」と決意。様々な現場で通用する技術を身に付け、誓い通り、35歳で個人事業主として開業しました。

災いが転機に

 最初は慣れない見積りやパソコンでの電気図面の作成に頭を抱えていましたが、誰かの困りごとを自分の技術で解決できることが嬉しくて、依頼は全て受けていました。しかし、一人では限界がきます。仕事が増えれば増えるほど、断らざるを得ない状況になり、期待に応えられないことがつらくて、2年ほど前ですかね、気付いたら鬱状態に陥っていました。
 そこに追い打ちをかけたのが父の入院です。作業中の落下事故で足を複雑骨折しました。私は電気屋業務もカバーするつもりで意気込みましたが、当然ながらそんな余裕はありません。人手が欲しくても、当時はアルバイトを1人雇っているだけで精一杯。ついに打開策として、ずっと先送りにしていた「後を継ぐ」という現実と向き合わざるを得なくなりました。
 経営を1本化すれば会社が安定し、人を雇えます。頭ではわかっていましたが親子関係があまり良くなかったので、「任せてくれ」の一言を伝えるのに、何度も病院の駐車場まで行っては引き返し…。やっと覚悟を決めて胸の内を伝えると、案外、すんなり物事が動きました。その後、父も70代とは思えない回復ぶりで現場復帰。私は今年度からアルバイトを正社員にし、さらに、もう1人、経験者を引き抜いて、やっと体制を安定させることができました。

地域に恩返ししたい

 後を継いで初めて見えたものがあります。それは、電気屋の仕事は、金額でも家電の機能でもなく、「佐藤さんじゃないと困る」と言ってくださるお客様に支えられているということ。代わりのいない信頼関係を、父と祖父が地道に築いてくれていました。それを知るまでは電気屋は早いうちに閉めるつもりでしたが、今は地域への恩返しとして残すため、何をすべきか考えているところです。
 会社の基盤強化、事業の拡大、新規開拓、公共工事への参入|。挑戦したいことは山ほどあります。けれど、「地域の困りごとを解決する」という軸はブラさず、その時に必要とされることを探り続けたいです。そして、多くの方の役に立つ企業に成長するために、自分自身が成長していきたいと思います。

■ SHOP DATA
株式会社 サトウデンキ(かぶしきがいしゃ さとうでんき)
広島県福山市沼隈町草深1921
TEL:084-987-0145

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