INTERVIEWEE No.668
有限会社 岡村商運(ゆうげんがいしゃ おかむらしょううん)
代表取締役 岡村 龍次 さん(37)
資源に特化した運送会社
私が生まれた1982年に父が創業したときからリサイクル資源に特化し、新聞や段ボール、雑誌などの古紙を運んできました。福山市内の町内会や学区から買い取り、中四国の問屋へ卸すというシンプルな流れですが、現在1ケ月に運ぶ総量は約2500トン。それを6人のドライバーで動かしています。
回収する町内会や学区は積極的に増やしており、現在15地区。古紙のうち新聞は減っていますが、段ボールはアマゾンなどの小口配達増加の影響を受けて増えています。ただ、古紙価格自体は私が入社した2006年頃からずっと右肩下がりのまま。最近では、世界最大の廃棄物輸入国だった中国が規制をかけたこともあり、今後も価格が上がるとは思えません。資源の新たな循環方法を探らなければいけない時代となりました。
弊社もまた、新しい柱となる事業を育てなくては。幸い、資源回収という仕事を通して各地域の代表の方たちと知り合えたので、今後何をするにしても、そのつながりが弊社ならではの強みになるはずです。
飛躍のため、根本から改革
特にこの2年間は社内外に向けて様々なチャレンジを重ねてきました。
社外的には、時々ご高齢の方から片付けを依頼されることもあり、将来、不用品回収事業にも取り組んでいけるように古物商許可を取得。リサイクル業務以外では、イベント会場の特設ステージとして2トン・4トン車のレンタルを始めました。その他、福山を訪れる外国人観光客をターゲットにした、トラックを使った体験型サービスの実現を目指し、社員たちと構想を練っているところです。
社内的には職場環境をがらりと変えました。実は、昨年1月に現在の明神町に引っ越すまで、事務所は東深津町、駐車場は箕沖町と10㎞の距離がありました。一念発起して物理的な距離を失くしたことで、ほとんど事務所に寄らなかったドライバーたちとコミュニケーションが取れるようになり、互いの距離も縮まりました。ようやくみんなで新しいことを一緒に考えていける環境が整いました。
制服も導入しました。真っ赤な作業服です。小さな会社だからこそ多くの方の目に止まるよう、一番目立つ色を選びました。胸元には赤い風船のロゴ。運送業に捉われず、どんなことにも軽やかに挑戦したいという想いを込め、私がデザインしました。新しく導入したトラックもボディは赤です。お客様に「岡村さんが来てくれた!」と、すぐに反応していただけるようになりました。
あらゆる経験を糧に
社内改革に本腰を入れるきっかけになったのは妻の3度目の妊娠でした。それが双子だったのです。これから子ども4人を養うとなれば、生半可な稼ぎでは家族を守ることができません。子育てするために会社を本気で育てていく決意をしました。
そして、停滞していた社内の空気が確実に変わってきた今年8月、父親に代わって私が代表に就任。そのとき全社員が快く受け入れてくれたことが何より嬉しかったです。私一人でできることはたかが知れています。しかし、大事なパートナーである社員の支えがあるので、どんな経験も全て未来につながると信じ、失敗を恐れず前進していきたいです。
同時に、資源回収という弊社の原点である業務にも、引き続き真摯に取り組んでいきます。今の町内会を支えているのはシニア世代の方々です。体力的な理由で資源回収をやめる地域が増えるのも当然のこと。町内会運営費を多少なりとも生む活動を、できるだけ長く続けてもらえるように、我々が使命感を持ってカバーしていきたいです。
■ SHOP DATA
有限会社 岡村商運(ゆうげんがいしゃ おかむらしょううん)
広島県福山市明神町2-7-31
TEL:084-926-9036