歯磨きと全身疾患 ープラーク(歯垢)の影響ー

歯磨きで守られるのは歯や歯肉など、口もとだけだと思っていませんか?歯磨きを行うことで、食後のお口の中から食べかすやプラーク(歯垢)を取り除いていることは、皆さんもよく知っていると思います。プラークとは数百種類の細菌が集まってできた塊です。このプラークですが、寝ている間にも増え続けてしまうので、毎日歯を磨くことでこすり落としていかないと、排水口がヌルヌルになるのと同じように、歯の表面はプラークでヌルヌルした状態になってしまいます。

プラークは虫歯や歯周病の原因となりますが、身体にも影響を与えるということはご存知でしょうか?糖尿病の悪化、動脈硬化の促進と派生される影響(認知症・脳梗塞・心筋梗塞・狭心症など)、心内膜炎、肺炎や関節リウマチの進行などがあげられ、風邪やインフルエンザなどの感染症を引き起こす原因にもなります。さらに、妊娠中は歯周病が悪化しやすく、その病原菌によって早産や低体重児など、胎児に悪影響を与える可能性も上昇します。

また、大きな手術をする場合に全身麻酔をしますが、このとき患者さんが窒息したりしないよう、人工呼吸器のチューブを鼻や口に取り付けます。そうすると、口もとから喉を経由し肺までチューブが伸びることになりますが、このチューブの外側を伝って、お口の細菌が肺や気管支に入り込み、肺炎を引き起こす場合もあります。ですから、手術前にプラークや歯石を除去しておけば、こういったリスク(危険度)が下がるので、近年は手術前に口腔ケアを行うようになってきています。
同様に高齢者によくある誤嚥でも、お口の中が汚ければ細菌も一緒に取り込んでしまうため、肺炎になる確率が高まりますが、お口のお手入れをしっかりしておくことで、リスク(危険度)を下げることができます。プラークが引き起こす虫歯や歯周病によって悪影響が起こるのであれば、歯を磨くことでこれらを予防することにもつながります。なにより、歯磨きには副作用がなく、低コストで済むという大きな利点があります。当然ですが、歯ブラシだけでなく、デンタルフロスなどの補助的清掃器具を用いることで、その効果は上がっていきます。

さらに、歯医者さんで定期的なメンテナンスを受けることでも、その効果は高まります。歯磨きでは取りきれなかった歯と歯肉の間のプラークや歯石を専用の器具で取り除くことができるからです。ですから一般的には数か月から半年に1回は歯医者さんでメンテナンスを受けることが推奨されています。
まずはプラークによる全身疾患への影響を、歯磨きを習慣付けることでなくしていきましょう。

小池病院 歯科

小池病院 歯科コイケビョウイン シカ

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