INTERVIEWEE No.698
KJD URABE ダクト(けーじぇーでぃーうらべだくと)
代表 卜部 賢治 さん(41)
加工も取り付けも
20歳のとき、知人の紹介で市内のダクト工事会社に入社し、15年勤めてあらゆるノウハウを培い、2014年に独立しました。ダクトは室内と室外の空気を効率良く循環させる管のことで、どんな建物にも設置されています。ダクトで排気と給気のバランスを取ることで、エアコンの力も発揮でき、快適な空気環境が整うのです。ダクトは直径数センチのものからトンネル級のものまであり、材質も亜鉛やステンレス、ガルバリウムなど様々。工事は飲食店や病院、工場などの商業・産業施設が対象で、現場は岡山市、倉敷市が中心。数日で終わる規模から数年かかる大掛かりなものまであります。 30歳のときに、ダクトを加工できる一級建築板金技能士の国家資格を取得しました。工事中にダクトの長さ違いが判明した場合や、自分で配管レイアウトを考えなければならない場合でも対応できます。空調機の取付口に合わせて丸ダクトと角ダクトを使い分けるのですが、丸型は蛇腹なので長さ調整がスムーズにできるのに対し、鋼板などを加工して組み立てる角型は作り変えになります。部分的な手直しで済むなら現場ですぐ修正できるのが私の強みです。 建物の特性に合わせ、気流などをしっかり計算された設計図をもとに施工します。けれど、完璧に見える図面でも工事に入ると誤差が生まれることもあるので、可能な限り工事前に現場を確認するようにしています。ダクトは主に人の目に触れにくい天井裏などに設置してありますが、私は職人気質な一面があるので、次にそのダクトに触れる施工者を唸らせたいという思いもあって、細部まで丁寧に、精度の高い作業を心掛けています。
周りの応援に感謝
独立した理由は、当時、小・中学生だった3人の娘と妻を養っていくために収入を増やしたかったからです。必要な工具や作業車を新調し、自宅を事務所にして会社を立ち上げました。ありがたいことに、前の会社から仕事を回してもらいながらスタートを切ることができました。今では私一人では対応しきれないほど忙しくなり、前の会社に応援を依頼することも増え、恩返しができています。「明日来て」という急な依頼でも快諾してくれる職人が周りにたくさんいるということも、強みと言えるかもしれません。 昨年あたりからようやく仕事が安定してきたので、看護師だった妻が注射器をペンに持ち替えて、経理や事務を担うようになりました。建材の下準備をするときは、ネジ留めなどの簡単な作業も手伝ってくれているので助かっています。
ダクト業界の革命に期待
新型コロナウイルスの影響で、換気の重要性が叫ばれるようになりました。ウイルスにも対応できる空調設備の導入を進める飲食店も増えていると聞きます。けれど、ほとんどの建物には、最新のダクトを設置するだけの十分なスペースが無いのではと懸念しています。それに、排気と給気のバランスを保つことは本当に難しく、大きな家具を配置するだけでも変わってきます。私も、新たな取り付けやメンテナンス工事のときに、今以上に衛生的な環境を確保できる施工を心掛けなくてはと肝に命じているところです。 ただ、これだけ空気の衛生に注目が高まったので、すでに業界革命は始まっています。よりコンパクトで、より高機能な空調機が開発され、業界としても忙しくなるのではと期待しています。今後の目標としては、まず事務所を構えたいですね、できれば3年以内に。ダクトの加工工場も併設したいです。いずれは従業員を雇い、私が育ててもらったように、若い世代を育てられる環境を整えたいです。そして、空調に関する新しい価値観やニーズに柔軟に対応できるよう、しっかり精進していきたいと思います。
■ SHOP DATA
KJD URABE ダクト(けーじぇーでぃーうらべだくと)
広島県福山市多治米町6-6-16
TEL:084-957-1073