【広島お好み焼き 鉄板くすのき/山田 航】ー 代々の土地と名前を引き継いで ー王道の味で地域に愛される店に

INTERVIEWEE
広島お好み焼き 鉄板くすのき
オーナー 山田 航 さん (30)

「くすのき」の由来

 空に向かって大きな枝を伸ばす、樹齢300年近いクスノキ。その枝に守られるかのように「鉄板くすのき」があり、鮮やかなオレンジの壁が目を引く。福山市指定保護樹木二号になっているこの木を植えたのは、鉄板くすのきのオーナー・山田さんのご先祖。「江戸時代に、干拓工事を行なって神辺から移り住み、植えたと伝え聞いています」。
 兵庫県で生まれ育った山田さんは、母方の祖父母が住むこの地の後継者として、22歳のときに福山へやってきた。地元企業に就職し、妻の出産時に退職。「交代で育児をしよう。仕事ならまた探せばいいからと考えました」。最初は、在宅ワークを考えていたが、やがて祖母が50年来営み、コロナ禍で閉めた「カラオケくすのき」を受け継ぐ決心を固めた。名物だったお好み焼きを自分で焼けるように鉄板焼き修行に出た後、今年4月にリニューアルオープン。「祖母の店を知るお客様が〝また開いてるんだ〟と笑顔で来店され、私も嬉しくなりました」と語る。

王道のお好み焼きを

 色々なお店の食べ歩きもして行き着いたのは、「シンプルな広島風。王道の味です」。基本の肉玉そばを頼むと、祖母と同じ、決して大きくはない鉄板に向かい、薄く生地を伸ばすと、その上に山盛りのキャベツ。豚バラと一緒にじっくりと火を通していく。麺と卵を加えてさらに焼き、おたふくソースの上にも砕いたイカ天。とろっとしたキャベツの甘味と香ばしい風味が特徴のお好み焼きを完成させた。「持ち帰りが大半です。晩御飯にされる方も多くて、ご近所さんの中にはお皿を持って来店される方もいらっしゃいますよ」と、すっかり馴染んでいる様子。
 オープン時はちょうど運悪くキャベツが高騰していて、敷地内でキャベツ栽培をしようか?と本気で考えたが、今は価格も落ち着いたのでとほっとした表情をみせる。ただメダカの飼育が趣味で、「水を循環させて水耕栽培でレタスやイチゴを作ろうかと計画中です」。

これまでの自分とやりたいこと

 高校時代は生徒会長として、毎月ラジオに出演しボランティアにも参加。「引っ込み思案だった自分を変えるきっかけになりました」。この勢いで大阪の大学時代もボランティア部で活動。同時にユースホステル協会に所属し、伊勢まで3日で約170㎞歩くウォーキングイベント等のスタッフを毎年引き受けた。「福山でも歴史と紐づけた歩く文化を広めたいです」。さらに茶道も始めたので、極めたいと言う。
 これまで、そしてこれからを様々に語ってくれた山田さん。「お店は利用する人が使い易いのがいいと思っているので、お客様のご要望で変わっていくでしょう。お客様と時には友人のように親しく話しあえたら嬉しいですね」。地域に愛される店に育てたいと思い描いている。

INTERVIEWEE DATA
広島お好み焼き 鉄板くすのき
福山市東川口町2丁目9-25
TEL:090-1597-2219
インスタグラム/@teppannkusunoki

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