今回の治療例は40歳の患者様で、20年前に他医院にて抜歯矯正治療を終了しましたが、歯列が元の状態に戻ろうとする「後戻り」により噛み合わせがズレてきたため矯正の再治療を希望して来院されました。
咬合全体がズレる「後戻り」の原因は、矯正治療後の保定装置をきちんと装着していなかった事がよく挙げられます。しかしそれよりも矯正治療自体が成功しておらず、しっかりと噛めていなかった事がそもそもの原因だったのではないかと私は推測します。
その理由として、①初診時の正面の画像から、奥歯の噛む面が逆になっていること(クロスバイト)。②左右側の画像から上下の歯がクラスⅡという不安定な咬合様式になっていること。この2点が最初の矯正治療で緊密に治せていなかったために咬合崩壊が起きてしまったのではないかと考えられます。
そのため、①は拡大装置を3か月使用し奥歯の噛む面を正常な状態にしました。その後、②はカリエールを4か月使用し、クラスⅡと呼ばれる臼歯関係をクラスIに是正しました。そこから7か月間ブラケットにて全体の歯並びを整えて終了しました。
患者様には治療期間も早く綺麗に治って、しっかり噛めるようになったと満足していただき、今後、「後戻り」を起こしにくい歯並びを構築できたと思っています。