Vol.44 肛門掻痒(そうよう)症について

Q. 肛門掻痒症とはどんな病気ですか。

A. 肛門の周りに慢性的にかゆみ(掻痒感)を生じる病気を総称して、肛門掻痒症と呼びます。かゆみは夜間や安静時に増強し、不眠症になることもあります。原因は多様ですが、原因が特定できないもの(特発性肛門掻痒症)もあります。

Q. どんな原因がありますか。

A.痔核、痔ろう、裂肛、肛門皮膚炎、婦人科疾患、などによる肛門疾患、腎不全や鉄欠乏性貧血、糖尿病や内分泌疾患などの全身疾患、精神疾患による心因性のものなどがあります。
 肛門疾患の場合は、分泌物や出血のために、肛門の周りにかゆみを生じることがあります。
 肛門皮膚炎は、湿疹、乾癬、脂漏性皮膚炎などが原因となり、肛門真菌症は、カンジダ菌や白癬菌が増殖してかゆみを引き起こすことがあります。また、蟯虫は、幼児期によくみられる肛門掻痒症の原因になります。
 肛門周囲に付着した便や汗、下痢や軟便で肛門部が湿った状態もかゆみの原因になります。また、温水便座などで、過剰に洗浄すると、皮膚のバリア機能(外部からの細菌や刺激物の侵入を防ぐ等)が低下して、かゆみを誘発します。

Q. どんな治療法がありますか。

A.排便習慣を含め、生活習慣を改善し、便秘や痔などの肛門疾患の予防に努めること、また、肛門の適切な洗浄も大切です。薬剤の使用を必要とする場合は、副腎皮質ステロイド外用薬の塗布、カンジダなどの真菌症に対しては、抗真菌外用薬を塗布します。

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