INTERVIEWEE No.688
有限会社 暁工業(ゆうげんがいしゃ あかつきこうぎょう)
代表取締役 助迫 仁 さん(47)
地盤改良に特化して創業
当社は「地盤改良工事」に特化した土木建設会社として、2006年4月に私が創業しました。地盤改良工事は建造物を沈下、傾斜させないために、土地の強度と耐力を高める重要な工程で、工事の一番最初を担います。ここに専門特化することで活路を見出そうと考えました。建設工事は、国が定めた基準を満たす技術者が、決められた工期を守り、入札で決まった価格で行うものです。「確実な施工」が当然だからこそ、技術的な差がつきにくい仕事でもあります。特に、福山は人口に対する建設業許可業者が多い地域ですから、強みをわかりやすくしたい気持ちもありました。
工法は、建造物や元請け業者によって異なります。住宅の場合は、地中にセメントの円柱を作って支える「柱状改良工法」や、鋼製の杭を埋め込む「鋼管杭工法」、道路や橋桁、商業施設などの場合は、地表近くの軟弱地盤をセメントで固める「表層改良工法」が代表的です。
今でこそ、どんな建造物を建てるにも地盤改良工事を行いますが、それでも一時は、会社をたたんで私もどこかの建設会社で働くことを考えたほど、売上が落ち込んだことがあります。しかし、2011年から、山岳トンネルの壁と山肌の間に溜まる水を排出させる「坑内防水工事」や、橋梁などを補修する「断面修復工事」を請け負い始めてV字回復。さらに、地盤改良の技術を活かし、2016年に参入したメガソーラー設置事業が新たな柱として成長し、企業として体力をつけることができました。
鉄則は、健康で安全に
社員数は現在10人。20〜40代の力自慢が揃っており、青森、群馬、山口、岡山など全国の現場で活躍しています。また、昨年から外国人実習生としてベトナム人を3人雇用しています。3人とも20代、まじめで素直。ただ、英語を使わない国ですから、「テレビ」も「カー」も通じません。会話は翻訳アプリで乗り切っています。
仕事をするには、やはり身体が資本ですから、社員には常に、健康管理と安全対策には十分気をつけるよう伝えています。現場でけがをしたり、熱中症で倒れたりすると、他社にまで迷惑がかかります。作業は迅速かつ正確に行うことがベストですが、それは元気で安全に働くことができて初めて叶うことです。
それを実行するためにも、昨年度、低燃費・低排出ガスの最新掘削機を導入しました。操作・施工能力も高く、作業時の負担も軽くなりました。この業種は、まだまだ危険性が低いとは言えませんが、近年は重機や保護具を充実させることで、安全性を補えるようになりました。有難いことに、当社では創業以来、休業を要する労働災害は一度も起きていません。これを更新し続けられるよう、私も細心の注意を払い、社員を守りたいと思います。
人付き合いが縁を生む
独立前は義父が営む建設会社で10年修行し、それ以前は、製造業、販売業、運送業などを転々としました。結果、学んだことは「人付き合いがビジネスの縁を生む」ということでした。実際、社員も仕事も、基本的には知人の紹介で増えており、私自身、かつてハーレーで旅しながらブログを書いていた頃は、フォロワーの困りごと解決に〝知人ネットワーク〟をフル稼働させ、仕事を紹介したこともあります。こうしたことが回り回って形を変えて還ってくるのだと実感しています。
会社は私一人では成り立ちません。仮に最高の経営手腕があって、唯一無二の技術があったとしてもです。地盤改良工事は日の目を見ることはなく、やり直しも利かない仕事です。しかし、建造物が寿命を終えるまで建ち続けるため、そして、安全で安心な暮らしを守るためには絶対に欠かせません。ですから、今後も巡り合わせに感謝しつつ、社員とともに誇りを持って現場に臨み、業務を全うしていきたいです。
■ SHOP DATA
有限会社暁工業(ゆうげんがいしゃあかつきこうぎょう)
広島県福山市南手城町1-3-41
TEL:084-973-3744