【加茂剣友会/福本 英俊】ー 礼儀作法と思いやりの心を育みながら ー 「道」を極める稽古を今もこの先も

INTERVIEWEE
加茂剣友会(かもけんゆうかい)
責任指導者 福本 英俊 さん(67)

稽古と家庭で、やる気に点火

「今の良かったぞ!って褒めると、親のほうを振り返って、にこ〜っと笑顔を見せるんです。きっと帰りの車や食卓でも話題にしているのでは。やる気に火がついて、家でも竹刀を振っているように思います。そんな連想ができる光景が度々ありますね」と、長年、加茂小学校体育館で週3回、市内全域から通う小・中学生の指導にあたる福本さんは目を細める。
 「先生、お腹が痛いです」そう訴えて来る子には「そうか。お腹が痛いのか。行ってきていいぞ」。子どもの声を最後まで聞いて、同じ言葉を繰り返してから指示を出す。また。褒める言葉は多く注意は少しだけ。「考えてみ」と伝える。「やらされる1時間より本気でやる30分。素晴らしい選手はたくさんの稽古をしているのも間違いないが、その練習量は自分で決めたらいい」。自分で気付かせる、強制しない教えが印象的だ。

指導者の喜び

「強い選手にするのが目標ではない」、と福本さんは言い切る。「あの子はええ子じゃのぉ、さすが剣道をしとるだけある、婿に欲しい、などと言われるような子になって欲しいですね」。勝負の世界でしのぎを削る以上に、礼儀作法を主体に、集中力と気迫を高める稽古を続けることに価値があり、周りも認めてくれると知っている。びっくりするような大学や就職の進路報告に来てくれる子も多く、嬉しい瞬間を幾度も経験したという。
 「そう言う自分はリバ剣ですが」と笑う福本さん。ブランクを挟み再開するリバイバル剣士のことだ。中学、高校1年で中断し、40代で息子と一緒に始めた。自身の剣技向上を目指し、やがて指導に専念。自らを律しながらレベル向上に努めてきた。選手歴を指導者歴が超えたのは、もう随分前のことになる。「成人した息子から、剣道をやっとって良かった、親父ありがとうと言われました。涙がぽろっと出ました」。

本当の強さは「武」と「道」に

福本さんが高校生のとき、周りのおとなたちを中心に発足したという加茂剣友会は、指導者を変えながら50周年を迎えた。「会として剣の道、正しい技と精神を後世に伝えています。まずは基本」と、きれいな立ち姿、打ち込み、足のさばき方に目を配る。「それから素直な心」。次のステップの指導者につなげるにも大事だという。
 「忘れてはならないことがもう1つ。武道の武は、戈を止めると書きますね。気迫を持って争いを起こさせない、力はあっても人を傷つけない、そんな人としての道も伝えたいです。そういう私もやんちゃ気味だった頃がありますよ。今はスッと背筋が伸びました。人間形成の修行としてようやく入口に来たような思い。死ぬまで鍛錬を続けます」と語っている。前職は工作機械関連の営業、管理職、現在は介護業界にも関わる。福山市剣道連盟理事。

INTERVIEWEE DATA
加茂剣友会(かもけんゆうかい)
加茂町中野848 加茂小学校体育館
TEL:084-972-7272

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