INTERVIEWEE
Brush-Up(ブラッシュアップ)
代表 中條 克哉さん(32)
磨きで決まる、専門店の仕上がり
「新車みたいにキレイ」。「買った時を思い出すわぁ」。驚きの撥水性と輝きを放つカーコーティング、内装まるごとのクリーニングで車をよみがえらせる専門店「ブラッシュアップ」は、代表の中條さんが福山市で2022年に開業して以来、その手仕事で多くの車と人に“再出発”の感動を届けてきた。
「プロショップとして、一番大切にしているのは汚れ落としや傷をきれいにする下地処理です。輝きは、コーティング前にほとんど決まります」と語る。時間に置き換えると、洗車に3〜4時間、磨きに7〜8時間もかけ、すべてほぼ手作業。鉄粉などのザラつきを取り除いてからの仕上げは、まさに「磨き上げ」の名にふさわしい。ディーラー経由の依頼も多数あり、その仕上がりの確かさを裏付けているようだ。シートの破れや天井の剥がれのリペアにも対応し、個人の依頼としても、親から子へ車を譲る前に「一度きれいにしてから」と来店するケースもある。見た目の美しさだけでなく、思い出や感情もよみがえらせる仕事だ。
銀行員から転身、福山で勝負
中條さんは香川県の出身。大学進学時、親から「仕送りをもらって一人暮らし」か「車を買ってもらって実家から通うか」の選択で、地元国立大学とマイカー通学を選んだ。「もともと車が好きだった」と話すように、銀行に就職してからもその情熱は消えなかった。
福山支店に配属され、営業成績を上げながらも「勤続年数不足だけが理由で役職に就けない」と年功序列社会にも限界を感じたそうだ。カーコーティングでの独立を決意して丸1年、週末は無給で修行し、家族や可愛がってくれた支店長も引き止めてくれたが、決意を変えることなく退社、開業した。「支店長とは今も連絡を取りあっているんですよ」。香川に戻っての開業も考えたが、福山で築いたつながりが背中を押した。信頼関係のある人たちに支えられて、踏み出した一歩だった。
一人でも妥協しない、信頼と品質
内装清掃のノウハウで「革製ハンドルもシートもコーティングでキレイになりますよ」と笑いながら、現在一人で運営する。戦力が簡単に育つ業種ではなく大事な車をあずかる責任もあってのこと。「品質やレベルを下げたくない」と。
年中無休に近い日々の中でも、楽しみはあるという。「ナイキのスニーカー収集ですね。20足くらい、ケースに入れて飾っています。好きなものがあると気持ちがのりますから」。集中して仕事に向き合える環境づくりも欠かせないという。運と応援に感謝しながら、「人と人との付き合いを大事に、誠実に向き合っていきたい」。車をあずかる姿勢と、自身の人生を磨く信念が重なるようだ。
INTERVIEWEE DATA
Brush-Up(ブラッシュアップ)
福山市新涯町2-8-6
TEL:084-975-7898