ー 全国唯一のエキスパート集団ー ロープアクセスによる特殊作業

INTERVIEWEE
株式会社 ソーテックスコーポレーション
代表取締役 小野 貴正 さん(43)

難所・高所で安全かつ低コスト

 人が入れない、足場が組めない、高所作業車が置けない…。プロの職人たちを困らせるそんな難所・高所こそが、小野さんの〝職場〟だ。ロープを用いたSRT(シングルロープテクニック)という、全国で無事故の実績があるアクセス技術で、橋梁や鉄塔、ダム、ビル、風車などにアプローチして点検するほか、家の外壁塗装・修繕、樹木伐採を行なっている。
 「ニッチな仕事(隙間市場)なんです」と謙遜するが、点検・修繕・伐採の3ジャンルをロープアクセスでできるのは全国唯一。さらに窓クリーニングという清掃も加わるのだから業種はダントツで幅広い。なかでも橋梁は、法律で義務化された5年に一度の定期点検による「近接目視」の部分を請け負っており、崩落を未然に防ぐ役といっても過言ではない。「見るだけならドローンでもできますが、打診で音を聞き、手で触れ、ミリ単位のヒビも接写して、多くの情報を地上に届けられるのは人間だから。それが強みです」。北海道から沖縄まで引く手あまただ。

設立から後進指導まで

 18年前の設立当初は、ハウスクリーニング会社としてスタート。ビルメンテナンスにも着手し、機械や車両を備えていった。やがて「他社と競合しない武器が欲しい」と小野さんが目を付けたのがロープアクセスだった。講習会を受講して勉強を重ね、ロープに関する専門資格だけで3種類を取得。業務の主軸に据えて約8年で、後進指導にも力を入れ、国内トップのエキスパート集団にまで育てた。ロープやカラビナがずらりと並んだ社屋には、練習用の鉄パイプも組まれている。
 この仕事、意外にも高いところは怖くて苦手、と思う人のほうが向いているそうだ。「現場で、より安全に注意深く行動できるので。得意な人は安易に進みがち。私も得意なほうではありませんが…。たいてい近隣で一番近い山の頂上にある鉄塔の点検は、海まで見渡せることもあり、爽快な眺めです」。肉体労働、体力勝負をイメージしがちだが、女性も多く活躍中という。

日本一のロープワーカーに

 ロープを使った点検作業といっても、SRT技術を使える人は全国でもそう多くない。「自分たちにしかできない安全な最新技術を広めることが今後の目標です。そうすれば仲間ももっと増えるはず。その上で、日本一のロープワーカーになりたいと思っています」。全国的な信頼を得た今、地元福山へも呼びかける。「外壁塗装や樹木伐採など一般の方も声をかけてください。安全で低コストなこの技術で、住みやすい環境に貢献できればと思っています」。
 現在、福山市消防団木遣り同好会「備後琥珀隊」にも所属し、活動する。全国のロープワーカーとつながって広い視野で俯瞰する仕事への姿勢は、江戸の町火消しの心意気とも、どこか通じるものがある。

INTERVIEWEE DATA
株式会社 ソーテックスコーポレーション
福山市南手城町3-12-8
TEL:084-999-3981

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