【異業種リレーの「わ」No.680 】「弁護士の精神性が高い福山で成長できた」

INTERVIEWEE No.680
沼田法律事務所(ぬまたほうりつじむしょ)  
弁護士 沼田 大助 さん(41)

縁のなかった福山で開業

 宮城県仙台市出身の私が、全く縁のなかった福山市で事務所を設立したのは、仙台市で親しくさせていただいた弁護士に福山市を紹介していただいたことがきっかけでした。一般的に弁護士が独立開業する場合、どこかの事務所で一定の経験を積んでからが多いですが、私はその弁護士から福山の特徴を教えてもらい、色々な方を紹介してもらい、独立を勧めていただいたことから、2009年3月、福山で開業することとなりました。開業後は、私が所属する広島弁護士会福山地区会の先輩弁護士方が仕事を教えてくださったり、仕事を回してくださったりしました。福山は、独立する弁護士を全体で応援しようとするところがあり、非常に精神性の高い弁護士が多い地域だと感じています。
 大学時代、自分に向いていそうな職業として選んだのが弁護士でした。当時は裁判員制度の導入が検討されるなど、ちょうど司法制度の改革期で、通っていた早稲田大学を始め、全国の大学が次々と法科大学院を新設。サラリーマンは望んでいなかった私は、卒業後、法科大学院に進学、3年間で法曹に必要な知識をしっかり蓄えたおかげで、狭き門と言われる司法試験に何とか合格できました。
 開業当初は特に専門分野を作らず、民事でも刑事でも依頼は何でも受けるようにしていました。ただ、トータルで考えると交通事故の事案が最も多いです。自動車保険の特約に弁護士費用が組み込まれてからは、交通事故の紛争に弁護士が介在することが増えており、私も被害者側に立って保険金の引き上げを訴えるケースもあれば、保険会社側に立って引き下げを訴えるケースもあります。

論理的思考で着地

 私たちは、依頼者が最大限の利益を得られるように交渉することを使命とする一方で、争いを終わらせる役割を担う責任もあると考えています。常に依頼者に喜んでいただきたいですが、紛争の解決として妥当な着地点を見つけ、そこに導いていくのも、腕のいい弁護士なのではないかと考えています。
 依頼を受けたら、まず話し合いで解決を試みますが、それが無理なら調停や裁判を起こすことになります。ちなみにテレビや映画で観るような法廷シーンは裁判の一部分にすぎず、大半は裁判官と双方の弁護士による書面上のやり取りです。日々の業務は書類作成と電話応対、依頼者との打合せや法律相談がメイン。華やかなイメージがあるかもしれませんが、案外地味な仕事です。
 裁判は簡単に言うと、生じた紛争に対して証拠に基づいて事実を認定し、認定された事実に法規範を当てはめ、結論を出すものです。私は論理的に考えることが好きなところがあるので、面白い世界だと思っています。しかし、当然ですが勝つことも負けることもあります。納得のいかない結末を迎えたときは、やるせなさをピアノにぶつけ、好きなドビュッシーを弾いて気持ちをなだめています。もちろん、有利な判決が出て依頼者に感謝されたときは非常に嬉しいです。

弁護士の視点を生かしたい

 福山は人口割合でいうと弁護士の数が少ない地域だと思いますが、それでも年々増えてきています。先輩方に支えていただいた恩を、独立を目指す弁護士を応援することで返していければと思います。今後は、それぞれが専門に特化するほうがレベルも上がり、住み分けもでき、顧客に対して安定したサービスを供給できるのではと思うこともあります。
 この仕事は、争いごとが起きて初めて動くものではありますが、最近は、トラブルを予防できる活動ができないかと考えるようになりました。弁護士は多角的な視点を持つために特殊な教育を受けていますから、それを、福山で暮らす方たちにプラスになるように動いていければと思います。同時に、士業以外の仕事にも目を向けて視野をさらに広げ、今とは違う自分も探してみたいですね。

■ SHOP DATA
沼田法律事務所(ぬまたほうりつじむしょ)
広島県福山市若松町7-4 4F
TEL:084-959-5230

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