【異業種リレーの「わ」No.845】備後絣に始まる縫製の産地ーメイドインジャパンの価値ー

INTERVIEW No.845
マルカ株式会社
代表取締役 後藤 賢二 さん(54)

120年の歴史

備後絣の製造に曽祖父・金右衛門が乗り出したのは明治40年。今から120年近く前のことです。祖父・一美が受け継ぎ、父・昭二の代に株式化して縫製業に移行。社名も丸加織物からマルカへと変更しています。
私は大学卒業後に父の勧めた東京の生地屋でかっちり3年間修行し、27歳で戻りました。不採算になっていた九州の縫製工場を閉鎖して福山へ集約しながら、アパレル、商社をクライアントに工賃受注をスタート。2003年に代表就任後は、地元関連業社の協力で、生地の加工から提案できるOEM生産へと切り替えていきました。
また、熟練の職人が引退後は、CADを使ったパターン製作、CAMによる裁断設備の構築も進め、誰でも同じレベルの品が作れるように整えてきました。現在は、2%以下とされるメイドインジャパンを重視するアパレルブランドやメーカーの仕事が集まり、小ロットで高品質、高単価のジーパン、チノパンといったボトムスを中心に手がけています。

商品企画「ONESELF」

受注以外では、一人で簡単に着ることができるユニバーサルシャツの企画、販売を2018年に開始しました。BtoBではない初めての商品です。
ワンセルフと名付けたこのシャツは、若くして脳卒中で半身が麻痺した私の友人から、一人で着られる服をとの要望を受けて考えました。見た目はワイシャツですが、実際は前も袖口もマジックテープで着脱できる飾りボタンになっています。上から3番目のマジックテープの色を変えてかけ違いを防ぎ、胸ポケットはどちらでも使えるように両方へ…等々の工夫をしています。Amazonでの販売を通じて全国から反響があり、社会復帰や就労の支援、高齢者の外出支援にもなっているようです。

縫製の産地としての展開を

2年前には縫製工場を増設し、カンボジアからの研修生を受け入れています。この10年、縫製で主力となっていた地元外注先の廃業が相次ぎ、自社工場生産の比率を高めて必要な人手を確保するしかなかったというのが正直な話です。それでも近年、研修生はコロナのせいで動きにくくなり、円安では日本に来ても稼げないからと人数は激減していました。今は13人まで増えています。
これまで主力商品の転換、人材確保、機械化と様々な課題を乗り越えようと努めてきました。今後は小ロット高品質の強みをいかして、インスタグラマーやユーチューバーといった個人の要望を生地、パターン、縫製で再現するようなコラボ商品を視野に入れています。また、自社だけが良ければ、という考えでは、縫製の産地として成立しなくなります。生地、糸、ファスナーやボタンの付属品、加工、洗いなど関連する会社と一緒に、新しい挑戦ができればと考えています。

■ PROFILE
1970年生まれ。福山市出身。明治30年創業の備後絣製造から数えて4代目。生地屋で修行後、入社。OEM体制を確立し工場増設、ユニバーサルシャツ企画販売も行う

■ SHOP DATA
マルカ株式会社
広島県福山市新市町相方680-2
TEL:0847-52-3355
http://maruka-co.jp

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