INTERVIEW No.823
リトルウイングコーヒー
代表 平橋 紀和 さん(53)
自家焙煎して販売
自家焙煎珈琲豆の販売とテイクアウト専門店として、今津町で「リトルウイングコーヒー・マツナガ」を、大黒町で「リトルウイングコーヒー・フクヤマ」を経営しています。
豆は毎朝6時から、私がマツナガで焙煎したものです。コーヒーの原点とも言われる「エチオピア・モカ」ならフルーティさが際立つ浅煎りに、「ブラジル」のように酸味が強いものは深煎りで苦味を加えて、と一つ一つ個性が際立つような焙煎を心がけています。毎日10種前後を焙煎し、妻にマツナガを任せ、私はフクヤマの店に立っています。定番の豆もありますが、「ブラジルブラックダイヤモンド」、「ゲイシャ」のような稀少で高価なものを置いていることもあり、日々のインスタグラムでお知らせしています。
農園による違いに衝撃
脱サラしてマツナガを開いたのは2000年。当時はまだ焙煎した豆を仕入れていました。焙煎の勉強をしながら、自家焙煎のみで形になるまで10年ほどかかりました。
焙煎豆は鮮度がよければ良いというものではなく、同じ産地でも農園によって大きな差があることも知りました。今も店の看板商品になっている、グアテマラで100年以上続く「サンセバスチャン農園」の豆と出会ったときです。完熟豆を手摘みし天日干しにした豆で、上質なコクとカラメルのような甘さがあり、感動でしたね。スペシャルティコーヒーと呼ばれるものの1つというのは後で知り、とにかく味の違いに驚きました。フェアトレードについても学んで積極的に取り入れ、文化紹介を兼ねた商品コーナーを置くなどもしました。
店舗拡大、同時に部門縮小
経営も軌道に乗ったと感じていましたが、コロナ禍で喫茶部門が非常に厳しくなり、豆販売とテイクアウト専門に切り替え。ほぼ同時に大黒町に2号店となるフクヤマを開きました。店舗拡大と部門縮小を一緒にした感じですね。
2号店を大黒町にしたのは、子どもの頃から馴染みがあり、レンガ通りの街並みや、今あるものを大切にした趣のある物件を見て運命的なものを感じたから。お客様と〝いいね〟〝美味しいね〟という価値観や空間を共有したいと願ってきた私にとって、この〝箱〟にコーヒーの空間を持ってくるというのは正に理想だったのです。
テイクアウトのほうも、ブレンドはもちろん、こだわりの牛乳を使ったカフェラテが美味しいとの声をいただいています。
家で淹れる文化を福山に
自分で選び焙煎した珈琲豆にまつわるそれぞれの物語をふまえて、家で飲むコーヒー文化を伝えていくのも私の生涯の仕事だと思っています。1日の始まりに1杯のコーヒーを淹れる文化が福山で育ち、時間と心の余裕が生まれることが願いです。コーヒーの淹れ方教室も折に触れて開催しています。
■ PROFILE
1971年生。福山市出身。2000年、珈琲豆販売と喫茶のリトルウィングコーヒーを今津町で開店。2021年大黒町への出店と同時に、両店舗を豆販売・テイクアウトの専門とする
■ SHOP DATA
リトルウイングコーヒーFUKUYAMA
広島県福山市大黒町1-23菊屋永楽堂A
TEL:084-999-1970
インスタ/@littlewing.coffee.fukuyama