シリーズ経口血糖降下薬② 【DPP-4阻害薬】

 GLP-1は、インスリン分泌を促進する消化管ホルモン(別名インクレチン)の一つですが、DPP-4阻害薬は、このGLP-1を分解するDPP-4を阻害することで血中GLP-1活性を間接的に上昇させ、インスリン分泌を促進、血糖を下げます。従って、DPP-4阻害薬は、インクレチン関連薬とも呼ばれますが、GLP-1同様、血糖が高いときだけインスリン分泌促進させるのが特徴です。このDPP-4阻害薬の持つ血糖依存性インスリン分泌が非常に重要で、低血糖をほとんど起こしません。血糖が低くてもインスリン分泌を促進してしまうSU薬と異なり、これが高齢化の進む本邦において、DPP-4阻害薬が最も頻用されている薬剤となった大きな理由と言えるでしょう。

 多くの心血管イベントへの影響をみるDPP-4阻害薬の大規模臨床試験において、華々しい結果を生んだSGLT2阻害薬と違って、残念ながらイベント抑制効果は認められませんでしたが、これがDPP-4阻害薬を色褪せたものにすることは決してありません。DPP-4阻害薬は、BMIが低いほど、EPA/DHAなどの不飽和脂肪酸摂取が多いほど血糖降下作用が強いことが証明され、肥満度が低く、魚を多く摂取する日本人においては、非日本人よりも、DPP-4阻害薬の血糖降下作用が強いことを裏付けました。糖尿病患者さんは、何よりも、安全に血糖を下げてもらいたいと思って医療機関を受診するわけですから、低血糖などの副作用がなく、しっかり血糖を下げられるDPP-4阻害薬が、日本人の糖尿病治療の中心に居座ることになったのも当然の結果と言えます。

 また、多くの患者さんにDPP-4阻害薬が投与されるようになって初めてわかるDPP-4阻害薬特有の有害事象も見えてきました。DPP-4はT細胞受容体でもあるため、自己免疫性膵炎、クローン病、間質性肺炎などの重篤な自己免疫疾患を稀ながら引き起こすことがわかってきましたので、これらの患者さんへの投与を慎重にしつつ、日々の診療でDP-4阻害薬を役立てていこうと考えています。

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