INTERVIEWEE No.697
和彩居酒屋 うら川(わさいいざかやうらかわ)
大将 浦川 裕司 さん(43)
メニューづくりは話題づくり
「40歳で自分の店を出す」と決め、5年掛けて準備し、2018年4月、住吉スクエアの1階にオープンしたのが「和彩居酒屋うら川」です。コンセプトは「つくねと和食の店」。串焼きメニューはつくねだけで塩、たれ、梅大葉のせ、わさびのせ、カレー、明太子のほか、お客様の声から生まれた「たれマヨ」など10通りの味を揃えています。 鶏モモミンチに刻み軟骨を多めに入れているので、コリコリした食感が特徴。その他の具材は企業秘密です。100gずつ一つに丸めたものを一旦蒸し、オーダーが入ってから遠赤外線でじっくり焼くのでふんわりふっくらしています。たれは自家製のもの、塩はブレンドした粗塩を粉末状にして使っています。テイクアウトやお土産にも対応しており、嬉しいことにお客様からは「冷めてもおいしい」「つくねは福山でここが一番」と言っていただき、恐縮しつつ感激しています。 海鮮丼を目当てに来る方もいます。1人前2300円と高めですが、メガ盛りの刺身に驚き納得されます。その他、宮崎県産黒毛和牛や親地鶏を使った肉料理、鶏ガラと野菜をじっくり煮込んだラーメン、シャレでお品書きに載せた、母お手製の「実家のらっきょ」などもあります。これからの季節はマツタケの土瓶蒸しがおすすめです。 私はメニューづくりは話題づくりでもあると考えています。私自身がお客様とおしゃべりをする時間が一番好きというのもありますが、おいしい料理とお酒に加えて会話が弾む仕掛けを作るのも大切な仕事だと思うのです。店構えは赤と黒を基調にして少し高級感を出していますが、良い食材をリーズナブルな価格で提供しているので、安心してのれんをくぐってください。
整備士から料理人へ
友人の居酒屋をちょっと手伝うつもりがすっかりハマり、30代半ばで自動車整備士から料理人へ転身しました。そこで厨房に立つまでは、たまにチャーハンを作る程度で料理の知識は皆無に等しく、魚の捌き方や煮物の作り方など基礎は全て料理長を見て学びました。お客様にも感想をどんどん聞いてバリエーションを増やし、プライベートでは食べ歩きをして様々な味や盛付けを覚えていきました。自分の店のイメージを固めるつもりでチェーン店から高級店まで幅広く巡っていたので、財布が悲鳴をあげることもしばしば。当時はキツかったですが、その分、今に活きているので良かったです。 当店のモデルとなったのは、福岡で立ち寄った和食料理屋です。ガラスのネタケースに刺身と鶏肉が半々で並び、作り手は1人だけ。自分もこんな店を目指そうと思いました。ですから当店も料理人は私だけでオーダーや片付け、調理補助などは5人のスタッフに任せています。全28席あるうちカウンターは8席。カウンターの奥行きを70㎝と広めに取ったのは私のこだわりです。テーブル席のようにゆったり寛げますよ。
うら川の味を知って
駆け足で料理人になったので、今も毎日が勉強です。外食や友人宅などで実際に食べたものや、テレビやSNSで見た食べものは全て、新メニューのヒントとして取り込み、完成したメニューは季節のおすすめとしてお出ししています。自分で納得のいく味に仕上げた料理を、お客様に「おいしいね」と笑顔で食べていただける瞬間がたまりません。 今は新型コロナの影響を心配してくださる声が多いです。第2波の今のほうが厳しいですが、私は店を閉める気は全くありません。そのために、自分1人でもやっていける店づくりを考えてきましたから。それに今はまだオープン3年目で、たくさんの方に当店の味を知っていただくときです。和食やつくねが食べたくなったら、迷わずいらしてください。
■ SHOP DATA
和彩居酒屋 うら川(わさいいざかや うらかわ)
広島県福山市住吉町1-40 1F-105
TEL:084-999-4270