INTERVIEWEE
奥野純子音楽教室(おくのじゅんこおんがくきょうしつ)
主宰声楽家 奥野 純子 さん(00)
自然に音の世界に身を置いて
「歌から離れた自分を想像できないかも」。少し高めの柔らかな声でそう語るのは、音楽教室を主宰しながら作詞・作曲を手掛け、ソプラノ歌手として舞台にも立つ奥野さん。
ごく幼い頃から音楽が身近にあり、「母が私を産む前にピアノ講師をしていたので、気付けば一緒に歌ったり弾いたり。習い始めた時期もわからないほど」自然に音の世界にいたという。ピアノ教室には小1から通い、現在、奥野さんも講師を務める福山学芸園の藤田園長が恩師。中学・高校時代から声で注目されており「音楽の先生に誘われて、わからないまま」出場したコンクールでも県上位に入賞した。島根大学教育学部特音で声楽を専攻。合唱やアンサンブルでも全国大会に出場するなどして、音楽を楽しんだ。
教えながら、ふるさと神辺を歌う
音楽教室では、子どもたちのグループや80代までが楽しむグループのレッスンもすれば、音大をめざす生徒の個人指導、女声アンサンブル「フィオーリ・ムジカーリ」の指揮指導もする。「子どもたちの成長に寄り添う喜びがあり、先輩方に接するときは、私もずっと笑顔で歌えたらと憧れています」。ピアニストの山岡珠代さんと四季ごとに開くコンサート〈こころをとかす朝の音楽〉は、0歳児からの全年齢が対象で、色々な人と一緒に音楽をと願う奥野さんの気持ちを象徴するようだ。
また、地元神辺ゆかりの菅茶山の漢詩を現代語訳した曲や葛原しげるの歌を広める活動でも知られる。昨秋、神辺本陣を舞台に福山市が主催した名所コンサートでも披露した。「菅茶山も葛原しげるも、自然の美しさや人の優しさを表現していて、心地良い言葉ばかりです」。
音を作り、心をのせて届ける
作詞・作曲の依頼も受けてきた。尾道市立久山田小の閉校式の合唱曲『HISAYAMADA』では、地元の人が音源を求めて訪ねて来るほど反響があり、岡山瀬戸高等支援学校校歌『今、ここに』は、何度も送辞・答辞に引用され親しまれている。「歌は、心をメロディーにのせたもの。言葉だけだと強すぎることも、音と一緒ならスッと心に入ることがあります」。東日本大震災の被災者の方と歌を通じて気持ちを寄せあったことも振り返った。「人の心を癒す、ふとした時に口をついて出るような歌の力を伝えていきたいですね」と語り、目元を緩ませた。
INTERVIEWEE DATA
奥野純子音楽教室(おくのじゅんこおんがくきょうしつ)
広島県福山市神辺町東中条7番地
TEL:080-1902-6692