【鞆港埋立架橋計画特集】鞆地区地域振興住民協議会 次回最終取りまとめ

 鞆港埋立て架橋問題をめぐって解決への共通認識を得るため、推進派、反対派双方の住民が参加して昨年5月から行われてきた県主催の鞆地区地域振興住民協議会は、18回目を数えた先月27日、一定の到達点に達したとして、次回で最後の取りまとめとすることが示された。(ぷれすしーど2011年12月2日号)

バイパス5工法提示・技術的に可能な資料そろう

 この日の協議会は、前回県が示した技術的に可能な4工法(埋立て架橋、海底トンネル、山側トンネル2例)に対し、家屋移転を伴わない第5の工法が提示された。
 これは、3つ目となる山側トンネル例で、福山側の接続位置を鉄鋼団地付近まで延ばしたもの。
 また、埋立て架橋では駐車場整備や、高波対策とフェリー埠頭といった港湾整備事業が並行してできるが、他案の場合どうかという意見があったことに対して、湾外・湾内に整備した場合それぞれの検討資料が出された。
 総工費は示されていないが、これにより県は推進派、反対派の意見をもとに、技術的に可能となる工法資料をそろえた形になった。

次回、最終集約へ住民説明会も開催

 仲介人役の弁護士からは、合意とは言えないまでも一定の到達点に達したとして、次回協議会で最終取りまとめをすると示された。
 その前に、仲介人が公開の住民説明会も開く(日程は調整中)。多くの住民にこれまでの経緯と5工法を直接説明し、また改めて多くの住人の意見を聞く。

意見は出し合ったが 両派の考え方は平行線

 協議会後の記者会見において、架橋推進派の大浜憲司さん(鞆町内会連絡協議会会長)は「5案とも機能的に大差なく一定の到達点に達したという表現は納得できない。景観ベースの判断ではなく、住民の命を守る生活道路を求めている。考え方が違う以上どこまで行っても平行線だ」と憤りの表情を見せた。

 反対派の松居秀子さん(埋立て差止め訴訟原告団事務局長)は「話し合いを積み重ねてきた結果、技術的データが揃った。鞆の歴史的文化的景観への国内外の評価は住民が思う以上に高い。どうしてもバイパスが要るなら山側トンネルしかない」とあらためて訴えた。

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